三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

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わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

第29話

なんて瑞々しく繊細な絵なんだろう、素敵……と読み進めると、松本隆や細野晴臣という懐かしい名前が!
小学生の頃、「ヤングソング(通称ヤンソン)」目当てで明星を買いましてですね、いろんな歌詞に目を通した結果、「松本隆っていう人の歌詞がいいかも」と思ったんですよね(←なに様)。松本隆の帯の言葉、さすがですよね。
それからやはり大昔、YMOのアルバムはお小遣いで全部買いましてですね、なので細野おじさんにはかなり思い入れがあります。(細野さんのテクノなソロも好き)(懐かしくて自分のことばかりすみません)
29話を拝読して、今は時代も距離もボーダレス、境界が消滅したんだ! と感じた2023年の幕開け。
それから先生が、行為だけを叱ってとやかく咎めなかったことについてのモノローグ、わかりみが……言語化できないけど(言語化しようとするとどんどん嘘くさくなりそうなので)胸を掴まれまして……こういう感性って忘れないでいたいなと気づきがあり、心が潤う回でした。

返信(1)

佐久田さん、お読みいただきありがとうございます!
いやあ、わかります!子供って、けっこう上から目線だったりしますよね!私も日記に、えっらそうなこと書いていた記憶があり、今うっすら思い出しただけで、「わあっ!」とか叫び出したいです(笑)

あの「先生が、行為だけを叱ってとやかく咎めなかった」シーンですが、腕を後ろで組み合わせて、俯いて「はい」と答える主人公の姿がすごく無防備に見えて、あのモノローグと相まってなんだか切なくて、そこでぎゅっと胸を摑まれてしまいました。
この後、綠ちゃんは海辺の町を出て、台北の大学に入り、一人暮らしをすることになるのですが、大学の雰囲気に馴染めず、授業をさぼって街をふらふらしている時に、「海辺のカフカ」(村上春樹の小説のタイトルからのネーミング)という喫茶店兼ライブハウスでバイトをしている男の子と知り合います。その男の子から「君と同じ名前のヒロインが出てくるよ」と村上春樹の『ノルウェイの森』を渡され、更に「オレ、バンドでギターボーカルやってるんだけど、水曜日にここでライブやるから観にきてよ」……という展開になります(ああ、甘酸っぱい!)

そもそも綠ちゃんが授業をさぼるような子になってしまったことに対する責任の一端は「細野おじさん」にあるわけですが(笑)、上記のように村上春樹も大きなモチーフになっていて、こうした日本の楽曲や小説が、これほどまでに台湾の人の心を揺り動かすって、やっぱりすごいことだなと改めて思います。「今は時代も距離もボーダレス、境界が消滅した」——佐久田さんの仰る通りですよね、私もそう感じます。

佐久田さんはライブハウスとかにお詳しいイメージが私の中にありまして……いつか音楽や、観てこられた音楽シーンについて思い切り語っていただきたいな、と実はひそかに期待しております^^