バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

柔らかく、鋭い考察

最新話、拝読しました。mikaさんのいつもの柔らかな語り口はそのままに、複雑な問題に鋭く切込んでいらっしゃって読み応えがありました!
この問題の複雑さは、「聖書」成立の複雑さをそのまま反映しているとも言えそうですが、その複雑な問題を明快に整理して下さっていて、読んでいてすごくわかり易かったです。きっと、この問題はmikaさんがずっと考えていらした問題なのだろうな、と感じました^^
実はこちらで知り合った方で、夫との問題でいろいろ悩み、信仰を持つようになった女性がいるのですが、教会で神父さんに例の「あばら骨」の話をされて、それなら仕方がないと自分を慰めたという話を聞き、なんかもやもやした感じがずっとあったんです。その方は外資系企業で活躍している、いかにも現代的な方だったので余計に驚いたのですが、今回最新話を読ませていただき、mikaさんの明快な分析のおかげでもやもやが晴れ、思わず拍手喝采です!(^^)
多くの方に読んでいただきたい素晴らしい作品!続きが楽しみです~^^

返信(1)

南ノさん、お読みいただきありがとうございます! 「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の旧約5作品は「モーセ五書」と呼ばれてます。(「ヨシュア記」まで含めて「六書」とする考えもあり)この五書は、伝統的には「モーセが一人で書いた」説が信じられていました。しかし12世紀に、ユダヤ人の聖書学者アブラハム・イヴン・エズラが初めてモーセ著者説に疑問を呈し、モーセの死後の出来事が五書に記されているという矛盾を指摘したのです。すごい勇気がある人ですよね! それから長い時がたち、19世紀になってヨーロッパで聖書への批判的研究が盛んになり、五書は四つの原資料から編集されている、という「四資料仮説」が提唱され、今では最も広く受け入れられている仮説となっています。また旧約聖書全体では、ヘブライ語の文体的特徴や語彙からおおむね三段階(①ダビデ王朝以前の古代詩文、②ダビデ王朝時代~バビロン捕囚前、③捕囚時代~第二神殿時代)に分けられると考えられています。旧約の成り立ちについての話題は、今後も何度も触れる予定です。できるかぎり、神学用語など使わないように分かりやすく説明したいと思います^^

南ノさんのお知り合いの女性は、配偶者との関係で悩んでおられたのですね。今回ご紹介した「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから男と女とにお造りになった」(マタイ19:4)というイエスの言葉は、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは律法に適っているか」という問いかけに対して、イエスが答えた言葉なんです。当時は、子供が生まれないとか、他の女性が気に入ったとか些細な理由から、夫の思うままに離婚することが認められていました。女性が男性よりも一段と低い立場にあった、そんな当時の社会常識に対して、イエスは「あなたたちは読んだことがないのか」と問題提起して、女性も男性も一人の人間として存在するのだと、はっきり言われているんです。また、この聖書箇所では、イエスは結婚しない生き方も認めているんです。生まれながらの理由で、あるいは自分の意志で結婚しない人々の生き方を認める、これは当時の社会ではすごく大きなことでした。
南ノさんの「なんかもやもやした感じ」、わたしもよく分かります。これまで長い間、男性中心の聖書の読み方がなされてきて、すべての罪を女性のせいにし、女性を男性より下に扱ってきたことは歴史的事実なので、克服していかなければいけないと思っています。
わたしの友人が、クリスチャンではないんですが、結婚式場のチャペルでキリスト教式の結婚式をしたんです。その時に司式者が、アダムのあばら骨からエバが造られたという聖書箇所を読んでいて、参列したわたしは複雑な気持ちでした。全く予備知識がない方たちが、この言葉を聞いたら、腹立たしく思うのではないか、わたしの友人を不快にさせるのでは、とはらはらしたり悲しい気持ちになったりしました。わたしのお世話になっている教会では、いま女性牧師が牧会しています。その牧師のもとで、わたしの学生時代からの友人でもあるクリスチャン青年が婚約式と結婚式をしまして、わたしは奏楽を務めました。その式で牧師がえらんだ聖書箇所は、「ひとりよりもふたりが良い。共に労苦すれば、その報いは良い」(コヘレトの言葉4:9)という言葉でした。なんて素敵な言葉を見つけてくるんだろう、とうれしくなり、「あばら骨」の箇所よりぴったりだと思いました^^
南ノさんがずっと感じておられた「もやもや」が少しでも晴れたら、こんなにうれしいことはないです! 次回もよろしくお願いします。