第58話 痒みは腎臓から?

文字数 936文字

 突然の(かゆ)み。花粉症?原因が今ひとつ分かりません。

 最初は脚の付け根、それも陰部に近い所。花粉が下着に付いて、アレルギーを起こしたのかと思った。トイレに行く度に下着が擦れるので、痒い。下着の上から掻いた。掻き始めると痒みが痒みを呼んで止まらなくる。部位が徐々に拡がり1週間ほどで肛門まで。途中からクリームを付けたが一向に治る気配が無い。場所が場所だけに病院へ駆け込めないでいる。

 この症状、以前にもあった。忘れたころにやってきて、慣れてきたころに姿を消した。でも、今回は少し期間が長い。ふと、嫌な予感……

『花粉なんかじゃない、もしかして腎臓?』

 慌ててググってみると……腎機能からくる皮膚症状の部位がドンピシャだ。原因は分かったが気分は晴れない。痒みを抑える対処療法なので、いつまで続くか分からない。腎臓は治癒しない臓器。だから、この痒みが腎臓だけのせいなら自己免疫には期待出来ない。

 私は腎機能が健常者の半分しかない。腎臓が1つだからと言うわけではなく、残した方も実はあまり良くない。コレが機能不全になれば人工透析になる。1つ摘出した時、医師に言われた。

「腎臓は1つでも機能してくれますが、事故には遭わないように。残した方がダメになったら透析は免れられません」

 この言葉は重く、私は車の運転等に一層の注意を払って生きてきた。でも注意は事故だけではなかったのかも。ここ1ヶ月ほど、私は強いストレスを抱えていた。夫との喧嘩はもちろん両親の介護、外反母趾、不整脈の疑いなどなど。常にイライラな空気の中に居た。仰向けに寝たとき、残した側の腎臓辺りに軽い痛みもある。身体はいつもより弱っている。『病は気から』を軽く使ってきたけれど、侮れない事実?脳は嘘の笑顔でもNK細胞を作ってくれると聞いたことがある。さっそく実践?そう言えば下の子が居なくなってから、あまり笑ってなかったな。

 せっかく夫との喧嘩を終結させたのに、私の身体はスッキリするどころか悲鳴を上げているようだ。ストレス解消だと思った温泉旅行は1泊ぐらいではダメだったか。お楽しみはこれからだと思っているのに。ポジティブになるために、まずは痒み止めに専念したい。

 人生は行く先々の困難を潰していくようなものかもしれません。
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