第二話:悪魔さんとぼっち生活(1)
文字数 545文字
誰にも愛されることなく朽ち果てていくんだと思っていた。
変わり者の魔法使いだった彼の家は、古い蔵の中にガラクタ同然のマジックアイテムを溜め込んでいた。
曰く、飲んだ者は恋に落ちるが、必ず死んでしまう劇薬。
曰く、魔力を極限まで高めるが、沈黙状態に陥ってしまうローブ。
曰く、聖霊と会話ができるが、人間の言葉が分からなくなってしまう鎧。
欠陥品だらけの品々に隠れて、祖父が後生大事に保管していたアイテムがあった。
曰く、悪魔を使役する際に使うマジックアイテムで、これを使えば我儘な悪魔の言うことを聞かせられるといったものだった。
「いつか、君にも素敵な悪魔が訪れることだろう……」
死ぬ間際にそう言い残して祖父は僕にその笛を渡してくれた。
かつて祖父もこの笛を使って悪魔と契約を交わしたのだろうか。
死んでしまった彼の魂が悪魔に奪われたのか、それとも天界に導かれたのか、それは分からない。
がらんどうになった祖父の家を売り払い、僕はいくばくかのお金を得た。
そのお金で、かつて祖父が教師をやっていた――エーテル魔導学園への入学を決めた。
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