第二話:悪魔さんとぼっち生活(3)
文字数 614文字
「星を五つ並べて黒塗りにする。それから火と水と風と土の召喚陣を重ね合わせて……ここの順番が分からないんだよな」
深夜12時を回った夜更け。
僕は黄ばんだメモ書きを手にして、巨大な魔法陣を書いていた。
住んでいる寮を出て十分くらいの林でごそごそしてる姿は、それだけで通報ものだろう。
「くそう……かえの血って何だよ、コメント書くなら他人にも分かるように書いてくれよ……」
ぼっち生活半年の僕の唯一の娯楽――それは祖父の残した悪魔召喚の再現だった。
「……Eloim,Esseim,frugativi……et appelavi.」
召喚呪文は聞いたこともない異世界の言葉で書かれていた。
「……Eloim,……Esseim,……frugativi……et appelavi.」
半年間、いつかは成功することを夢見て、僕は呪文を繰り返していた。
「……Eloim,……Esse……――――――ッッ!?」
今までにない強い光。
召喚すら成功したことのない今までとは全く違う。
何かが生まれる瞬間。
異界より顕現される感覚。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)