第7話 星に願いを

文字数 400文字

 満天の星空を眺めていると流れ星が空を横切り、私は心の中で願った。

 キャンプファイアに薪を焼べながら、いつもの言葉を呪文のように唱える。
「炎よ、高く高く舞い上がれ!」

 その昔ここはキャンプ場だった。
 広い野原でじゃれ合う子犬たち。
 河原で水遊びする子供たち。
 優しく見守る家族の姿。
 あの頃の光景を今でも鮮明に思い出す。

 缶詰のコンビーフを開け、飯盒で炊いた白米の上に載せた。
 清らかな川の水や青々とした木々。自然は充分すぎるほど身近に溢れている。
 しかし食料は残り僅かだし、これからの寒さを凌ぐために防寒着も必要だ。
 途中にスーパーがあったはず。夜が明けたら山を下りよう。

 再びキャンプファイアーに薪を焼べながら、呪文のように繰り返す。
「炎よ、高く高く舞い上がれ!」

 また一つ流れ星が現れ、そして消えて行く。
 どうかこの炎に気づいてほしい。
 たった一人地球に取り残された私は、祈るように星に願った。
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