第9話 ポチ物語

文字数 400文字

昔々、山奥のお屋敷に目と耳が不自由な老夫婦が住んでいました。
ある夜、彼らのところに動物の赤ちゃんが迷い込んできました。
老夫婦は手触りでそれが子犬だと判りました。
二人はその子にポチと名付け、たいそう可愛がりました。
ポチは言いつけをよく守り、やがて立派に成長しました。
しかしその頃から、麓の村人は老夫婦の家に寄り付かなくなっていました。
村人に食料を届けてもらっていた二人は次第に痩せ細っていきます。するとそんな二人のためにポチが食料を運んでくるようになったのです。
ポチは狩が得意で、ウサギや鳥、時にはもっと大きな獲物も持って帰るので、それを捌いて調理するようになった老夫婦は食べ物には事欠かなくなりました。
ところが暑い夏の日に二人は食当たりを起こし、夫婦揃って天に召されてしまいました。
ポチは老夫婦が亡くなったあとも、屋敷を守り続けました。
やがて麓の村人たちは、その家を「狼屋敷」と呼ぶようになりました。
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