第42話:フンシャル花祭り1

文字数 2,125文字

 先に進むと鎌倉、奈良の大仏を小さくした大仏が台座の上に鎮座していて、その周りが日本庭園になっていた。奥まで行かず30分程で切り上げて、次は、その近くにある「ボターニコ・ダ・マデイラ庭園」へ移動した。そこに着いて、まず、メインの庭園に入ると、まるで大きな花の絨毯みたいに素晴らしい絶景だった。

 きれいな花を上手に区域を分けて栽培していて、遠くから写真を撮ると、巨大な花の絨毯に見えるという仕掛けになっていた。この景色をいろんな角度から何枚もの写真をとり、庭園を歩くとサボテンと花が良いコントラストになっていた。ここも30分程で切り上げ、ジオラン岬に行くと、既に多くのお客さん達で混んでいた。

 入場すると一番先まで行くのに別に料金が必要だったが、せっかく来たので入って見ると足元が硝子張りになっていて、とんでもない高さだと言うことが良くわかった。ちなみに、その高さは580メートル、世界第2位の高さだそうだ。高所恐怖症の人なら卒倒しそうな高さで、遠くを見ると真っ青の海がどこまでも続いていた。増したの海は透明度が高く底まで、はっきりと見えるほどだった。

 見学を終えてタクシーでホテルに戻って昼食をとった。その後、午後13時にホテルを出て、花祭り会場になるメインストリートへ来て、ブルーシートを敷いて、ホテルの名前と伊賀と書いた布をピン止めでシートの端につけた。そして、昼が過ぎると、最初に幼稚園位の可愛い女の子達のパレードが始まり、皆、同じスカートと衣装で花を持ちながら観客に手を振った。

 その後に、男の子達が続いた。男の立ちも同じ派手な洋服で笑顔を振りまいていた。次に、美人の女性と小さな子供のペアがゆっくりと歩いた。これまた、美人と小さな子供のコントラストが、実に良い、この行列には、おおきな拍手が送られて、多くの写真が撮られていた。その後、小学生の女の子の一団と、次に男の一団が、やってきた。

 中学生位、高校生位になると女性は、やがて美人になるだろうと思われる娘や逞しい女将さんになりそうな娘、おてんばそうな娘と個性が出てくる。しかし男性は、外見からその特長が分かり難い、細い子、太い子、筋肉質の子、浅黒い子、色の白い子。その他、地元特有の感じの子と個性的な子供が多かった。その後、現地の民族衣装の一団がやってきた。

 そして、特徴的な衣装と踊りで、印象に残ったが、素朴で好感が持てた。14時を過ぎるとパレードカーに乗った美人さんが、観客にウインクしたり投げキスをしてくれ多くのシャッター音が響いた。数人の美人が乗っていると、まるで美人コンテストでもやっているかのような雰囲気になった。そのうちに16時を過ぎ、パレードが終わった。そして、ホテルに歩いて帰り、仮眠した。

 19時に夕食をとり、マディラワインを飲みながら、伊賀が夫妻が、今日の旅の話をしはじめた。まず、花がきれいだと言うと、フロントの男が、私達はいつも見てるので、あまり感じないけど、確かにきれいかも知れないと言った。そして最近、ストレティアがヨーロッパ、アメリカ、日本で富裕層を中心に人気が高まり、とんでもない高値で売れて農園の連中はこぞって、庭園に金をかけた。

 少しでも、きれいにするために、アフリカ、南米から安く雇える労働者を大勢雇い、彼家の大きな、粗末な住居を表から見えにくい、日陰の水はけの悪いこと所に作っていると話してくれた。しかし、農園主だけが儲かるだけで、私ら十人には何の恩恵もないと、ぼやいていた。むしろ、フンシャル花祭りだけでなく2月中旬から下旬のカーニバルや9月のマディラワイン祭りに世界から大勢のお客さんに来て欲しいと言った。

 役所が、最近力を入れて、金をかけて、世界中に宣伝してくれ、年々、観光客が増えて、その点ではホテルも潤っていると笑った。もう少し高いマディラワインが売れると、うれしいけどねと言ったが、反面高くなりすぎて、最近では島民が買えないのも寂しいと本音を漏らした。そんな話で盛り上がり今日も0時になり床についた。

 翌、4月24日、朝8時前にホテルを出て、伊賀夫妻が場所取りをして、通りの周辺の木を見ると、ジャガランダの花が咲き始めているのが見え、気分が盛り上がった。そして10時にフラワー・フェスティバルが始まった。いきなり、美女達がきれいな花の中に数人登場して観客に手を振って歓声に答えていた。

 次に美人さんと可愛い女の子のペアが手に花束を持って、とびっきりの衣装に身を包んで行進してくるとシャッターの音が響いた。このシーズンはフンシャル空港が大混雑する。ロンドン、パリ、ローマ、ヨーロッパ各国から、直接、フンシャル空港への直行便を出すようで島のホテルだけではとても収容しきれない人達を日帰りで参加できるようにしているという話を聞いた。

 11時なると会場の沿道は、いっぱいになり観光ツアーでは、5、6段のツアー客、専用の観客席を作っている所が見えた。また、観客の列が長く、最後の方まで見えないほどだった。続いて、地元の男性と女性が踊りながら練り歩いたり、妖精のような衣装を着て、手に持った多くお花を見物客にプレゼントしてくれるパレードもあった。
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