第15話:小説の売れ行き好調と体調変化

文字数 2,094文字

 それが、東京の新聞のコラム欄に載った。本のタイトル、「軍医時代の経験」「帝銀事件」「下山事件」も紹介された。そのお陰か、1995年4、5月と売り切れ続出。そのため新人社員の初の小説が重刷を繰り返し笑いが止まらないと活字が独り歩きしていった。その結果、売り上げが順調の伸び始めた。4月発行部数ベスト3に顔を出す快挙を達成。

 そのため作者の伊賀俊二の懐にも多額の印税が転がり込んだ。内容も、小説の内容もミステリアスなものが多く、発売当初、真偽の議論が起こった。そして多くの人の投書が出版元に送り付けられた模様。これらの出来事が、販売部数を押し上げたともいわれている。しかし、80年前、一番新しい事件も50年以上と古く人気のさめるのも早かった。

 ちょうど、その頃、伊賀俊二の体に異常が起こった。それは、悪夢を頻繁に見るようになり寝られなくなり精神神経科に通院し始め睡眠薬を服用し始めた。その悪夢とは、戦場で負傷者を治療してる姿、帝銀事件、下山事件など、全て倉木先生が、治療や検死に立ち会った多くの事件の画像が、まるでユーチューブを見てるかの様に断片的に現れる。伊賀俊二の3つの小説の印税1億円が入った。

 そこで倉木先生の記憶を消したいのでSE社を今年で退職したいと言うと、それが君の希望なら、やむをえまいと言い本の印税も入るから当面は、やっていけるだろうと告げた。できるだけ退職金を増やしてもらう様に頼んでみると言ってくれ、お礼を言った。数日後、SE社へ辞表を提出し編集長が受理。1998年末、退職金3百万円をもらい退職した。

 これで印税を含め資産合計が約1億円。退職したと聞いた伊賀俊二の友人学生時代の朝永安男が、会いたいと連絡してきた。朝永と家の近くの喫茶店で面会すると退職したら税金の事を考えて有限会社を作った方が良いと言われた。詳しい事は、俺がやるよ言ってくれた。俊二と奥さんは、ハンコを用意してと言い、翌週、再び面会し書類を作成。ここに君と奥さんの署名捺印して提出してと話した。

 その書面を読むと本の具体的な仕事として執筆、製本、投資活動と書いてあり伊賀実業という有限会社と書いてあった。これで必要経費として備品購入などを請求できるし第一、今住んでる目黒の住宅も事務所と登録しておくと税控除の特典も受けられると説明した。執筆、製本、投資活動に対する必要経費も請求できると教えてくれた。

 できたら書類作成代金1万円欲しいと言うので渡した。その後、杵渕聡美の事を思い出して電話すると直接面談しないとわからないと言われ伊賀は,奥さんと共に杵渕さんに面会した。いくつかの質問をされ、悪夢の状況説明を聞かれ正直に、話すと、できだけのことはすると言い、私の言うとおりにして下さいと言われ、深呼吸、黙想、音楽を聴かされた。

 その後、落ち着きましたかと聞かれ、伊賀が、あまり変わらないと伝えた。この治療で、落ち着かないとすると手の打ちようがない。原因もわからない一緒の脅迫性障害でしょうと言った。そのうち1996年となった。すると,杵渕さんが、精神科の医者を紹介しましょうかと聞かれ、是非、お願いしますと言った。すると家から近いMT精神科医院を紹介してくれた。

 翌週、言き、院長の問診を受けて、その症状を聞かれ、今までのいきさつも含め全て話した。倉木先生の話し、書いた小説の名前も伝えると、あの小説読みましたと先生が言い、実に興味深かった。フィクションとしては、傑作だと言い事実だったら残酷な戦争犯罪だと告げた。気になったので倉木虎三さんの情報を図書館は、もちろん外国の本、雑誌を読んでみても違っていた。

 その他、インターネット、旧軍人関係の団体の資料を探ってみても全てフィクションだと思われた、かなりの部分が真実と判明。実際に中国で、随分、残酷な人体実験をしたと言う報告も見て愕然とした。戦時中、日本の右翼活動家、YKと結託して満州でとれた金や非鉄金属、宝石なども横流した様です。その金で当時の満州の日本の経営する豪華ホテルのスイートルームに長期滞在していた。

 もちろん、女遊びも派手で、その豪遊ぶりは、満州の高官の中でも有名だった様だ。戦後になっても日本の右翼活動家、YKと一緒になって、日本の与党の政治家に多額の献金をし見返りを得ていた事も明かした。

また秘密を知った中国人スパイもYKを通じ軍人に依頼し暗殺した様だ。それを聞いて、悪夢の内容と一致するのに驚き、その夢を見るようになったのですと告白した。理由は、わからいが、その男と長い間、生活したための極度の脅迫性障害でしょうと告げた。現在、その男の家に住んでないでしょうねと聞くので、住んでいますと言うと、早く引っ越しなさい。

 そうしないと、まずいことになるかもしれませんよと言った。まずい事ってと聞くと、交通事故にあうとか、自分で、耐えられなくなって、発作的に自殺するとですと、冷静に答えるので、急に怖くなった。すぐ引っ越して、自分の気持ちの休まる所を探して、引っ越しなさいと言われた。旅行して自分が気の休まる安心できる所を探して下さい。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み