第2話

文字数 418文字

シェヘラは小さい頃から物語を考えるのが好きだった。自分が創った話を両親や兄、姉に話して聞かせるのが何よりも嬉しかった。ご飯を食べるのも忘れ、寝るのも忘れてお話を創るのに没頭した。中学、高校に上がると、自作の小説を雑誌やネットに投稿するようになった。

毎朝、王宮から帰るとすぐさまPCを開き、KBを叩き始める。物語は電車で見た夢の中で既に組まれてある。昼になり、スティックパンを齧りながらKBを叩き続ける。

風呂も入らず(いや、風呂ぐらいは入るが)、夕方になると簡単な化粧をしTシャツと履き古しのデニムのまま、ノートPCを持ってJRに乗り、王宮へ行く。

シェヘラはこんな生活をもう1年も続けていた。高校卒業後は、日中は家で執筆漬けだ。毎日、話を考えるのは大変な事には違いないが、シェヘラは辛いと思ったことがない。

王は18歳のシェヘラよりひと回り上の38歳。父親に近い年齢の彼は、毎晩、シェヘラの話をだまって聞いてくれているから。
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