第3話

文字数 488文字

王様は、何を考えているのかわからない。私の話を、面白いとも、つまらないとも言ってくれたことはない。けど、まだ殺されずに済んでいるのは、まあまあ及第点を貰ってるっていうことよね?……

シェヘラは王の寝室へ、Tシャツとデニムのままで入っていく。
娘盛りにも関わらず、彼女はおしゃれにとんと興味が無かった。お金は殆ど、通信費や本を買うのに使った。恋愛にも無縁だった。学生時代、男子学生の何人かからラブレターなるものを貰ったが、その文面のまずさに辟易した。

私より巧い文章の書ける人でなくっちゃ、いやあよ。

いま、自分の話を無表情で聞いている男を前にして、そんな風に思っていた自分はなんと傲慢だったことだろうとシェヘラは思う。

シェヘラの話はいつも夜中の13時頃に終わるのだが、その後、王宮の来客用の寝室で休むことを許されている。朝になり、朝食を戴いたあと、JRに乗って帰るのだ。

シェヘラが王宮に通い始めて1ヶ月が経った頃、車で送り迎えさせると王は言ってくれたが、シェヘラは丁重にお断りした。それで、シェヘラは王からJRの定期代と、1日につき500円のギャラを貰っている。
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