クマの話(11/15)

文字数 500文字

あっ、シロクマ
あそこにも
そこにも
シロクマが多すぎる
写真やイラストで
あちらこちらの広告塔になっている
ホンモノを見たことのない僕は
テレビでしか見たことがないのだけれど
可愛いらしさや親しみを覚えたことはない
なのに
シロクマが溢れている
きっと、僕の感性が鈍いのだ
ヒグマ注意
北海道で買ったTシャツを時々着て眠る
基本的には熊好きなのだが
シロクマばかりがもてはやされるのが
どうも許せない
茶色の熊
白色の熊
二色の着ぐるみがあったら
たぶん、シロクマになる
子供達が喜ぶし
どうせなら人気者になりたいから
単なる嫉妬
いわゆる卑下
もしかしたら憧れ
僕はシロクマが
なんだかんだ言って好きなのかもしれない
シロクマになって肖像権で暮らす
悠々自適な毎日が待っている
妻と子供達は人間を選ぶだろう
シロクマになりたくて
家族を捨てた男がいたら興味深い
自伝を書いたら売れるかもしれない
シロクマになりたくて
人間を捨てた男がいたら見てみたい

広告に誘われて
シロクマのいる動物園に来ている
ホンモノは想像していたよりも
大きく、雄々しい
僕は
シロクマになりたいと思わない
シロクマはどうして人気が高いのか?
謎は深まるばかりだ

蜂蜜好きの
茶色の熊が
僕も人気あるけど
と笑った
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