上階の足音(11/17)

文字数 352文字

今日も聞こえる
だいぶ慣れたけど
大きな音だ

どこの誰だか
知らないけど
踵を傷めないか
心配してしまう

性別も
職業も
年齢も
分からないが
上階の住人である

顔も知らないけど
足音だけは知っており
聞こえないと
どうしたのだろうか?
なんて
要らぬ心配をしている

下階の住人に
足音を聞かれているなんて
全く気付いていなのだろうな

ましてや
心配されているなんて
思いもしないはず

時間帯は
朝早くもあれば
深夜なんてこともあって
余計に
住人の予想が難しい

初めは
運動でもしているのではないか
飛び跳ねているのだと思ったけど
とにかく歩く音らしく
そんなに響くのか……
僕は下階を意識してそろりと歩く

太宰治の『眉山』を思い出し
どこか体がわるいのではなかろうか?
そんな心配をした

心配ばかりだ

とにかく
上階の足音が
気になって仕方がない

たぶん
おそらく
迷惑なのに
心配している
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