第二回 フランシスコ・ザビエルの奇蹟

文字数 1,411文字

はい!今日はフランシスコ・ザビエルさんをゲストにお呼びしています!

 教師役のウルスラさんは元気よく生徒の右近に宣言した。

ザビエル様!お名前はかねがね!

 日本のキリスト教伝来は西暦1549年のこと。日本にキリスト教を持ち込み布教したのはご存知、宣教師ザビエル。



 ザビエルは2年に渡り日本での布教活動を行った後にインドに帰還し1552年に死没するため、1553年生まれの右近に面識はない。



 しかし、右近にとってアジアを股にかけてキリスト教の教えを説いたザビエルは憧れの存在である。

そんなに喜んでもらえると、お呼びした甲斐がありますねぇ。ウルスラ先生も嬉しいですよ
…して、そのザビエル様はいずこにおわすので?

 右近はきょろきょろと首を回すが、ウルスラさんの周囲には人影ひとつ、猫の子一匹見当たらない。

はい、どうぞ
 ウルスラさんは手のひらに何やら白いものを乗せて右近に差し出した。
ウルスラ先生、これは?
これ…ザビエルさんです
とても人には、見えませんが…?

 それもそのはず。ウルスラさんが差し出したものは、ザビエルの骨の一部だったのだ。

いやー…彼、ザビエルさんは実に布教熱心な人で…ね。カトリック教会では日本の他にも東アジア、東南アジア諸国、オセアニアの守護聖人とされていて──遺骸の一部が世界各地に保存されているの。今日本に保管されていてすぐに呼べたのは胸骨の部分!ってわけですね。アハハ!
ザビエル様…こんな姿になっておいたわしい…
体のどの部分がどこに保管されているのか、詳しい情報が知りたければwikipediaなりを参照してくださいね
投げましたね

 宣教師フランシスコ・ザビエルは1506年、ヨーロッパのイベリア半島の根元に位置する小国ナバラ王国の貴族の家に生を受け、1534年に同郷の学友らとともにイエズス会を設立する。



 ザビエルらの創設したイエズス会は、ルターの起こした宗教改革により反動革新を迫られるカトリック教会の改革の一端となり、直に世界への宣教活動を推進するようになる。



 ザビエルは世界への宣教を掲げるイエズス会の信念のもと、1541年にポルトガルを発ち、インドや明を経由して8年後、薩摩の島津氏の統治にある鹿児島に到着したのだった。

なお、日本には50年周期でローマからザビエルさんの右腕がやってくるみたいですからタイミングが合えば右腕ともお会いできますよ。

右腕というのは側近とかそういう意味ではなくて、そのままの意味です

ぜひお会いしたいですね。次はいつになりそうなんです?
ザビエルさんが来日したのが1549年なので、来日500年記念の2049年ですかねー
ええー…32年後…

 右近は心底がっかりしたような声を出した。憧れの聖人には当分の間、骨の一部にしか会えないだろう。

さて、それでは本題に戻りましょう!右近さんが聖人になるために参考になるザビエルさんの起こした奇蹟についてのお話です
ザビエル様も奇蹟を?
遺骸の右腕を切ったら血がドバーッと出たのが奇蹟です
ローマのイエズス会の総長がザビエルさんの遺骸を切るように命じて切ったら、亡くなってかなりの時間が経っているのに血がドバーッと出たのを奇蹟と認定しました
?…なぜ遺骸に…日本的に言うと仏さんを傷つけるようなサイコなことをしたのですか?
さあ?
……
右近さんももう一度死んでみて、死体から生きている時みたいに血が噴き出れば聖人になれますよ?
それはいやです
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登場人物紹介

戦国武将 高山彦五郎重友。通称 高山右近。(1553~1615)

2016年にその生涯が評価されバチカンに福者認定を受け列福したキリシタン大名。


神の奇蹟により現代に復活し、聖人になるため勉強する。

聖ウルスラ。


聖人を目指す高山右近に聖教育を施す教師の守護聖人。

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