01.見知った顔
文字数 2,859文字
あなたたちはどこか見覚えの無い場所で目を覚ましました。
豪華な屋敷の玄関ホールのような場所です。天井から豪華なシャンデリアが吊り下がっており、大きな柱時計と美しいいくつかの絵があり、如何にも豪邸と言った趣です。
そして玄関ホールの中央には、不自然にクローゼットが置いてあります。
あなたたちは玄関ホールの中央あたりでそれぞれほぼ同時に目を覚ました。周りには見知った顔がありました。
『山ノ下 かほり』が起き上がりました。
『須藤 アキ』は起き上がり、手荷物があるか確認します。
しかし身に付けているもの以外は何も持っていませんでした。そしてさらに、アキは裸足です。
かほりも持ち物があるかわさわさしますが、やはりバッグなどは何も持っておらず裸足でした。
周囲の物音に反応して『君入 宗太郎
かほりとアキは君入をジロジロ見ます。
アキはかほりに駆け寄ります。
君入は悲しくなって周りを見回し、『木坂
木坂が近付いてきました。
君入も木坂も自分の荷物を確認しますが、身に付けた物以外は持っていませんでした。そして裸足です。
君入以外は思い出しました。
今日の日付は 2016年6月15日、中学三年生の同窓会でした。酒を飲んだ瞬間にあなたたちは意識を失ってしまったのでした。
玄関ホールは薄暗いですが、シャンデリアが照明になっています。
君入がクローゼットに近付いて見てみましたが、普通のクローゼットに見えました。
アキはクローゼットに手をかけて開けてみました。その拍子に中から何かが転がり落ちてきました。
それは、傷だらけで首と手足がもがれた、中学生くらいの子どもの体でした。裸で性器も無く胸も無い、華奢であり、性別は断定できません。
アキは怯えながらも、大変恐ろしい物が出てきたクローゼットをよく見てみました。
内部は普通のクローゼットのようですが、血があちこちに付着しており真っ赤に染まっていました。
転がった胴体からはなぜか血が流れていません。
かほりはクローゼットから全力で目を逸らしています。
アキがハッと顔を上げて見回してみると、玄関のような扉がありました。
アキはスマートフォンを取り出して電波が通じるか確認してみました。
画面はバキバキに割れていました。
かほりと君入もスマートフォンを取り出して確認してみましたが、粉々に砕かれており電源も入りません。
君入は悲しい顔をして玄関らしき扉に寄っていきます。