07.鍵の在処

文字数 3,908文字

[君入 宗太郎]

アキちゃんを助けられて本当に良かったよ

[山ノ下 かほり]

アキちゃん寒くない?

[木坂 陣矢]

タオルとかあるんじゃない?

[須藤 アキ]

……………………。

[山ノ下 かほり]

アキちゃん? アキちゃんっ?



 呼びかけても反応が無く、かほりはアキの体を揺さぶります。



[須藤 アキ]

ご迷惑をお掛けして申し訳ない

[山ノ下 かほり]

アキちゃんが無事ならいいよぉ

[君入 宗太郎]

びえ~~っ、よかったよ~~



 君入は涙ながらに言います。



[須藤 アキ]

一体何だったんでしょうか

[君入 宗太郎]

この家恐い

[山ノ下 かほり]

突然閉まったんでしょ?

[須藤 アキ]

水が急に溢れ出てきて

[山ノ下 かほり]

こういうことあんまり言いたくないんだけどさー…………ポルターガイストじゃない?

[君入 宗太郎]

一刻も早くここから出ようっ

[須藤 アキ]

出ないとねえ



 木坂がトイレの中を見ると水は止まっており、特に怪しいものは見て取れませんでした。



[君入 宗太郎]

恐いからもう離れよう

[君入 宗太郎]

お風呂場の中も気になるけどそれは後で

[山ノ下 かほり]

見たいなら見てもいいよ?

やめたほうがいいとは思うけど

だって血生臭いもん

[君入 宗太郎]

イヤ、見ないし

危険を冒さず早くここから出るために、2階に行く?

[山ノ下 かほり]

2階だね

[君入 宗太郎]

イヤ、みんなちょっと待って

僕、懐中電灯見付けた

[山ノ下 かほり]

Oh, Kimiiri~

[木坂 陣矢]

Kimiiri~

[君入 宗太郎]

ガイジンかw

[君入 宗太郎]

キッチンのオーブンを照らしに戻りたいんだけど、いーい?

[須藤 アキ]

ああ、そうだった

[山ノ下 かほり]

わたしたちはライフルがあった部屋に、ライフルの弾探しに行く?

無いのかな?

[木坂 陣矢]

たぶん無いんじゃないかな

[山ノ下 かほり]

とりあえずこのライフルが本物かどうか誰か分からない?

再度全員振っていいですよ

須藤 アキ【ライフル】⇒ 失敗

山ノ下 かほり【ライフル】⇒ 失敗

君入 宗太郎【ライフル】⇒ 失敗

木坂 陣矢【ライフル】⇒ 失敗



 全員ライフルに関する知識はありませんでした。



[君入 宗太郎]

ライフルは分かんないもんな~

あなたたちには分かりませんけど、一応それは「SKS」っていうライフルですw

[君入 宗太郎]

オーブンに行きたいけど、一人で行けないから誰か

[須藤 アキ]

じゃあわたしが

[君入 宗太郎]

え!? いや、そんなピンピン行けるかんじ?

[須藤 アキ]

だってもうねえ、早く出ようよ

もうヤダぁ

[山ノ下 かほり]

じゃあわたし扉を押さえておくよ

また閉まったら嫌だし



 あなたたち全員はキッチンへ向かいました。






[須藤 アキ]

入る前に聞き耳しなくて大丈夫?

[山ノ下 かほり]

何か生き物いるって言ってたね

[君入 宗太郎]

出てきてるかな?

でもホラ、扉開けといてくれるならスグ逃げれば

[須藤 アキ]

……………………。

[木坂 陣矢]

……………………。

[山ノ下 かほり]

……………………。

[君入 宗太郎]

……………………。

[山ノ下 かほり]

いや、聞き耳しとこう

あんなことあったし

[須藤 アキ]

反省していこう

須藤 アキ【聞き耳】⇒ 成功



 アキは扉の向こうに聞き耳を立てますが、何も物音はしませんでした。



[君入 宗太郎]

大丈夫そう?

[須藤 アキ]

大丈夫そう



 がちゃ。


 君入が扉を開け、アキと二人でキッチンの中へ入りました。かほりは扉が閉まらないように押さながらキッチンの中を見渡しました。



[山ノ下 かほり]

立派だねー

[須藤 アキ]

ガスコンロって調べたっけ?

[君入 宗太郎]

調べてないけど恐いよね



 君入とアキはオーブンに近付き、中を懐中電灯で照らしてみました。

 そこにはとても小さな鍵が一つありました。



[山ノ下 かほり]

何かあった?

[君入 宗太郎]

鍵がある

[山ノ下 かほり]

オーブンに??



 がしゃしゃっ。


 君入は素早くオーブンの中に手を入れ、鍵を取り出しました。



[須藤 アキ]

スピード早

[君入 宗太郎]

鍵を取ったぞー☆



 君入は鍵を持ってスキップで扉のほうに戻ります。



[山ノ下 かほり]

(浮かれてんなあ)

[木坂 陣矢]

(浮かれてんなあ)



 ガスコンロの上には、蓋のしまった大きな鉄の鍋が置いてありました。



[須藤 アキ]

どうする?

鍋あるけど、開ける?

[木坂 陣矢]

怪しい

[山ノ下 かほり]

音とかは何もしないの?

[須藤 アキ]

…………鍋に聞き耳?

[山ノ下 かほり]

鍋の中に何か入ってたりしないのかな

だって冷蔵庫に何か入ってるくらいだもん

須藤 アキ【聞き耳】⇒ 成功



 アキは鍋に聞き耳を立ててみましたが、何も音は聞こえませんでした。

 アキと君入の二人は鍋の蓋を開け、中を覗き込みました。


 鍋の中には、生の臓物がびっしりと詰まっていました。



[君入 宗太郎]

うわああああー!

見てしまった二人は【SAN値チェック】です

成功で0,失敗で 1d2 です

須藤 アキ【SAN値チェック】⇒ 成功

君入 宗太郎【SAN値チェック】⇒ 成功

[山ノ下 かほり]

君入くん、叫んでどうしたの?

[君入 宗太郎]

鍋の中がすごいことになってる

[須藤 アキ]

見てはいけないものがあるからこっちには来ないように

[山ノ下 かほり]

うん、分かった!



 そう言ってかほりは目を逸らしました。



[須藤 アキ]

どうしようか?

何か入ってる可能性に賭けて中身をぶちまける?

[君入 宗太郎]

まあ、オーブンに鍵が入ってたくらいだから

[山ノ下 かほり]

流しの上にぶちまければいいんじゃない?

そしたら手は突っ込まなくて済むんじゃない?

[君入 宗太郎]

流れちゃうんじゃないの?

[山ノ下 かほり]

流れていきそうなものなのかね?

[君入 宗太郎]

鍵が入ってたらさー

[山ノ下 かほり]

好きにしな!

[君入 宗太郎]

手を入れてみます

[須藤 アキ]

手を入れる!? ほんとに?



 君入が鍋の中に手を入れると、何とも言えない感触がしました。



君入さんは【SAN値チェック】です

成功で 0、失敗で 1d2 です

[君入 宗太郎]

うええええ、気持ち悪いぃー



 君入は気持ち悪さに耐えながら臓物の中をよく探し、鍵らしきものを見付けました。



[君入 宗太郎]

鍵があったよ

[須藤 アキ]

鍵はあったけど、大丈夫? …………色んな意味で

[君入 宗太郎]

手は洗いたいけど

[山ノ下 かほり]

水で手を洗えば?

[木坂 陣矢]

鍵も洗おう



 蛇口を捻っても水は出ませんでした。



[須藤 アキ]

あんなにトイレで水出たのに

[山ノ下 かほり]

トイレ行ってジャブジャブしてくれば?

[君入 宗太郎]

こわいよ~

[木坂 陣矢]

トイレの水も止まってたし

[山ノ下 かほり]

いま鍵が2本

引き出しと金庫かな

[須藤 アキ]

そっか、部屋2は鍵穴がないんだ

[山ノ下 かほり]

引き出しと金庫を開けに行こう

鍵はもう君入くんがずっと持ってて

[君入 宗太郎]

おっけ~い…………



 君入は宙を見上げています。



[君入 宗太郎]

みんな褒めてよ、もっと

[山ノ下 かほり]

君入くんすごーい

[須藤 アキ]

なんかゴメンね

本当ありがとう

[木坂 陣矢]

ありがとう

[山ノ下 かほり]

グロ系平気なんだね

[君入 宗太郎]

気がおかしくなってたね

何で俺はアレに手を入れたんだろう

[山ノ下 かほり]

でもそのおかげだから






 あなたたちは鍵を持って書斎にやって来ました。



 君入は小さいほうの鍵を引き出しに差し込みました。ガチャリ、と音がして鍵を開けることができました。

 あなたたちは全員で覗き込みながら引き出しを開けました。


 そこには、右足が一つ入っていました。



そのようなものを見たあなたたちは【SAN値チェック】です

成功で 0、失敗で 1d2 です

山ノ下 かほり【SAN値チェック】⇒ 成功

木坂 陣矢【SAN値チェック】⇒ 成功

君入 宗太郎【SAN値チェック】⇒ 成功

須藤 アキ【SAN値チェック】⇒ 失敗

須藤 アキ【1d2】⇒ 2
須藤さんがどんどん減っていく

[君入 宗太郎]

うわぁ、右足?

[山ノ下 かほり]

これはさー、考えたくないけどさー…………

[君入 宗太郎]

言っちゃう?

[山ノ下 かほり]

さっきの死体は手足が無かった訳でしょ

ここに右足がある訳じゃん? お風呂場が血生臭かったのも体の一部があったんじゃない?

バラバラになってこの館に置かれてるのでは?

[須藤 アキ]

そうね、ぽいかんじね

[山ノ下 かほり]

ということであの浴槽を見るのはやめよう

[君入 宗太郎]

神崎さんのかも知れない可能性もあるよ

[山ノ下 かほり]

神崎さんのものだとしても集めたくはない~…………

揃えたって願いは叶わんじゃろ~~

[君入 宗太郎]

神龍シェンロン~~

[君入 宗太郎]

もう一個の鍵も試してみる?

[木坂 陣矢]

絶対何か出てきそう

[君入 宗太郎]

じゃあ、じゃんけん?

[山ノ下 かほり]

わたし開けるよ

血を拭いてもらえる?

[君入 宗太郎]

ズボンで? わざわざ?

[山ノ下 かほり]

もういいよ、ちょうだい

怒ったw

[山ノ下 かほり]

埒が開かん

[君入 宗太郎]

目を閉じて開けるから

[山ノ下 かほり]

わたしが中身を改めよう



 君入は鍵を金庫の鍵穴に差し込みました。


 ガチャリ。


 君入はすぐに背中を向け、かほりが金庫の扉を開けました。

 ライフルの弾と、また日記の切れ端が一枚落ちていました。



[山ノ下 かほり]

ライフルの弾あったよ

[君入 宗太郎]

見ても大丈夫なヤツ? 見ても大丈夫なヤツ?

[山ノ下 かほり]

ずっと目つぶってな



 かほりはライフルの弾を取り出し、木坂に渡しました。

 それから日記を拾い上げました。



[君入 宗太郎]

見てもいいヤツ? 見てもいいヤツっ?

[山ノ下 かほり]

いーよっ



 あなたたちは日記に目を通しました。



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登場人物紹介

木坂 陣矢(きさか じんや)

薬局に勤めながら薬学の勉強中。

口数少ないが唯一君入を覚えていてくれた友達甲斐のあるナイスガイ。

君入 宗太郎(きみいり そうたろう)

非力な YouTuber・イリリンとして活動中。

大学で❝デビュー❞したため、中学時代の同級生にはあまり覚えられていない。

須藤 アキ(すどう あき)

婦警。

何事にも冷静に対処できるが運があまりよくない。

君入によく頼られるので、自分でできることは自力でがんばってほしいと願っている。

山ノ下 かほり(やまのした かおり)

農家に嫁ぎ、農作業を手伝いながら収穫物を個人のネットショップで販売したりしている。

君入をまったく覚えていなかった。

しゃりんさん[キーパー]

初心者ぞろいのプレイヤーたちを真理へと導こうとする天の声。

ダイス

運命を左右する無慈悲な無機物。

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