第24話 黒
文字数 1,271文字
夕方に大広間でのミーティングの後で、俺は一人で廊下へととぼとぼ歩いた。手摺から望遠鏡を使って海賊船の集まりを見ていみる。
「一、二、三、四……五……六……わからん……」
海賊船は数え切れないほど海に浮かんでいる……。
十や二十よりも多い感じだった。
「台風よりも竜巻の方がいいんじゃ……」
俺は考えた。
あの海のど真ん中に竜巻……じゃなくて台風を発生させるには……?
楠田先生はミーティングの後に、俺に子供の頃を思い出してごらんと言った。
けれど、記憶力の悪い俺には……子供の頃を思い出すことは不可能に近かった。
「だー!! 思い出せん!!」
小さい時は、障子に落書きをしまくって親から、ひどく怒られたくらいしか覚えてないなー。
「う、うー、うー、うー……う、うー、うー……う」
「なんだ? 風ノ助くん。モールス信号かい?」
楠田先生がミーティングをやった大広間の帰りから通りかかった。
「あ、楠田先生? そんなんじゃないんだ! 今、必死に子供の頃を思い出してるんだ! 邪魔しないでくれ! 俺って記憶力が無いっていうか……悪いっていうか?!」
「そうか……モールス信号?! ……モールス信号……そうだ!!」
「う、う、うーん……あ、そうだ!」
松の葉が舞う廊下で、俺と近くにいた楠田先生は同時に閃いた。
行き交う家来が俺と楠田先生にも深くお辞儀をしている。
「海賊は多分、モールス信号を知らないはずだ!」
「へ……あ!」
「何故なら確か発明家サミュエル・フィンレイ・モールスがモールス信号を発明したのは1837年だ! 風ノ助くん! 頭の良い家来を数人連れて来てくれ! 大至急だ!」
「おう!」
俺はそれを聞いて駆けだした。
けれど、さっき何を閃いたかは、すっかり忘れてしまったー!
………
「いいかい? もう一回、言うよ。海賊の頭は多分、大勢いるんだ。カリブ海からどうにかして全て黄金の国ジパングに来たんだ。そこで、その海賊の頭たちだけを一人ずつ倒していくんだ。クラスのみんなはきっと本船にいるだろうし。勿論、最初に言った陽動作戦でね。最後に大海賊ベンジャミン・ホーニゴールドを退治してしまうんだけど。いいかい、そう簡単じゃないけど……全ての頭を失った海賊たちはちりぢりになって、これならいとも簡単にクラスのみんなを助けられるんだ」
大広間での再びのミーティングだ。
頭の良いと評判の家来と俺たちが集い。楠田先生の作戦を頭を捻って聞いていた。
「うん? 先生? それとモールス信号はどういう関係が??」
俺の疑問に楠田先生は笑って答えてくれた。
「ああ、それは一度に全部の海賊の頭を倒すんだよ。だから、当然有効な連絡手段がいるんだ。モールス信号で船と船の間で、みんなで逐一情報を交換していけばいいと思ったんだ」
楠田先生はチョークで金の襖に書いていた。
「こんな感じかな……」
「うえ?」
俺は首を傾げた。先生……それはちょっと大胆過ぎやしませんか?
楠田先生の作戦は、一人ずつ海賊の頭を倒していくんだけど……ほぼ同時になんだよな……。集団暗殺なんて聞いたことないや……。
「一、二、三、四……五……六……わからん……」
海賊船は数え切れないほど海に浮かんでいる……。
十や二十よりも多い感じだった。
「台風よりも竜巻の方がいいんじゃ……」
俺は考えた。
あの海のど真ん中に竜巻……じゃなくて台風を発生させるには……?
楠田先生はミーティングの後に、俺に子供の頃を思い出してごらんと言った。
けれど、記憶力の悪い俺には……子供の頃を思い出すことは不可能に近かった。
「だー!! 思い出せん!!」
小さい時は、障子に落書きをしまくって親から、ひどく怒られたくらいしか覚えてないなー。
「う、うー、うー、うー……う、うー、うー……う」
「なんだ? 風ノ助くん。モールス信号かい?」
楠田先生がミーティングをやった大広間の帰りから通りかかった。
「あ、楠田先生? そんなんじゃないんだ! 今、必死に子供の頃を思い出してるんだ! 邪魔しないでくれ! 俺って記憶力が無いっていうか……悪いっていうか?!」
「そうか……モールス信号?! ……モールス信号……そうだ!!」
「う、う、うーん……あ、そうだ!」
松の葉が舞う廊下で、俺と近くにいた楠田先生は同時に閃いた。
行き交う家来が俺と楠田先生にも深くお辞儀をしている。
「海賊は多分、モールス信号を知らないはずだ!」
「へ……あ!」
「何故なら確か発明家サミュエル・フィンレイ・モールスがモールス信号を発明したのは1837年だ! 風ノ助くん! 頭の良い家来を数人連れて来てくれ! 大至急だ!」
「おう!」
俺はそれを聞いて駆けだした。
けれど、さっき何を閃いたかは、すっかり忘れてしまったー!
………
「いいかい? もう一回、言うよ。海賊の頭は多分、大勢いるんだ。カリブ海からどうにかして全て黄金の国ジパングに来たんだ。そこで、その海賊の頭たちだけを一人ずつ倒していくんだ。クラスのみんなはきっと本船にいるだろうし。勿論、最初に言った陽動作戦でね。最後に大海賊ベンジャミン・ホーニゴールドを退治してしまうんだけど。いいかい、そう簡単じゃないけど……全ての頭を失った海賊たちはちりぢりになって、これならいとも簡単にクラスのみんなを助けられるんだ」
大広間での再びのミーティングだ。
頭の良いと評判の家来と俺たちが集い。楠田先生の作戦を頭を捻って聞いていた。
「うん? 先生? それとモールス信号はどういう関係が??」
俺の疑問に楠田先生は笑って答えてくれた。
「ああ、それは一度に全部の海賊の頭を倒すんだよ。だから、当然有効な連絡手段がいるんだ。モールス信号で船と船の間で、みんなで逐一情報を交換していけばいいと思ったんだ」
楠田先生はチョークで金の襖に書いていた。
「こんな感じかな……」
「うえ?」
俺は首を傾げた。先生……それはちょっと大胆過ぎやしませんか?
楠田先生の作戦は、一人ずつ海賊の頭を倒していくんだけど……ほぼ同時になんだよな……。集団暗殺なんて聞いたことないや……。