第51話

文字数 611文字

――――

「私が目撃したことを整理すると、どうやら、攫ったのは海賊の子分たちだ。その証拠に牢屋が空っぽになっていたんだ。そして、小舟が一隻なくなっている。うーん。ぼくの信頼できる人物をどうやって知ったのかはわからないが、見事に歴史の教科書を奪ってしまっていたね。これらをまとめると……多分、秋華と内山は海賊共和国にいるはずだよ」

 飯の時間。
 大広間に俺たちと、楠田先生がもう安全だと言って家来たちも集まった。食べながら、楠田先生の話を聞いていた。

「先生。それじゃ、海賊共和国ってところへまた行けばいいでスかい?」
 あの。煤野沢がいつにもなく乗り気だった。
「海賊共和国って言っても広いから……よーっし、しらみ潰しにさがすかしないといけないぜー」

 楠田先生は微笑して、
「ああ、そうだね。ハハッ、君たちはさすがだね」

 みんなに配膳する女中たちは大忙しだった。

 俺は仙台味噌のおにぎりをお茶で喉に押し込んでいると、隣の膳にいる楠田先生が箸を静かに置いた。

「風ノ助くん。それが……海賊共和国はジャマイカのポート・ロイヤルとハイチのトルトゥーガ島、そして、バハマのナッソーなど船が停泊できる至る所にあるんだ。そう、広いんだよ」
「ふーん」

 それでも、俺はあまり気にしない。よーしっ! 全部。いや、一個ずつ占領していけばいいんだな。……あれ、だけど、もしや?!

「楠田先生。そこに天使のやつらは当然いるんスよね?」
「いるはずだよ」
「うへ?!」
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