第13話

文字数 511文字

「うーん……」

 チュンチュンと鳴く小鳥の囀りを無視して、俺は寝返りを打つ。

「後、5分……いや、10分……絶対に……」

 片目に光が照射されているのがわかる。

 もう、朝か。

 まだ寝ているぞ。
 誰がなんて言おうと……! 

「政宗さまー! もう朝餉の時間はとっくに過ぎておりますぞー!」

 どこからかの重臣の声に、俺は勢い良く起き出した。
 布団を蹴飛ばして、階下へと廊下を全速力で駆け抜ける。
 なにやら辺りの家来たちは、廊下の端で俺に平伏しているが、無視だ無視。
 それより、俺には朝ごはんのほうが優先だ!

 あれ? ここはどこだっけ? あ、そうだ! 俺は伊達政宗になっていたんだ! 

「風ノ助くん。廊下は走っちゃいけないって、いつも言っているだろ!」

 階下の襖を勢い良く開けたのは楠田先生だ。
 もう、すでに朝ごはんの良い匂いがする。
 俺はその部屋へと飛び込んだ。

「あ、風ノ助くんの朝ごはんはもうないわよ! 煤野沢くんが全部食べちゃったの……でも、厨房にはまだあるかも……」

 立夏ちゃんが山盛りのご飯片手に言うので、俺は向きを変えた。一目散にこのお城の厨房へと駆けだした。

「うおおおー!!」

 前方に厨房らしきところを発見! 俺は突っ走った。
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