第30話

文字数 571文字

 ドゴ―ン!!
 ドゴーーン!!

 凄まじい爆音を発し、竜巻によってお城の両脇へとそがれて御裏林や広瀬川に向かう断崖に砲弾が無数に落ちていく。

「風ノ助くんー! 頑張れーーー!! 君が駄目だとクラス全員ここで終わりだぞーー!!」

 遥か下の楠田先生は、椀を持ちながら必死にエールを俺に送っている。

「うおおおおおーーーー!!」

 俺も必死に竜巻を発生させた。

 砲弾はどんどん次から次へと撃たれている。
 多分、海賊たちがありったけの砲弾を発射しているんだ。
 海が砲門からの煙で夜のように真っ暗になるほどだった。

「こ……! このままじゃ……?! ウキ―――!!」

 俺は竜巻の間から海賊船一隻一隻に突風を発した。
 凄まじい風力によって、海賊船は一つ一つひっくり返ってくれた。

「よし!」
「おおおおおーー!」
「うおおおおおーーーー!!」

 野郎どもがどこかから本丸までサーベルを振り回しながら走って来た。

「いかん! 風ノ助くん! 陸では野郎どもが本丸を再度攻めて来てしまった! どうやら竜巻の隙間を見つけたんだ! であえーー! であえーー!」

 楠田先生が抜刀し、家来たちを大声で呼ぶ。

「御意ーーー!」
「御意にーーー!」
 家来たちはわらわらと海賊相手に勇猛果敢に向かって行った。

 遥か下の地では剣戟の音。遠い前方の海では砲撃の音が木霊する。
 俺はここを動けないんだな。
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