第26話 あとがき

文字数 3,442文字



 まきやです。

 中編「後悔の忘れ方」をお届けしました。最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

 退廃的な雰囲気の中で送る母親の物語、いかがだったでしょうか。

 全体的に意識しているのは、やはり洋ドラマ・洋画の世界です。小手先で邦題を付けてみたり※1、ルビを多用したりと、雰囲気を寄せる為に姑息な手をたくさん使っています(笑)。

※1 NOVEL DAYSさんの文字数制限に引っ掛かりました。この小説の本当のタイトルは「Think before you make a hateful.」といいます。「後悔の忘れ方」は邦題なんです(翻訳本の雰囲気を出したくて)。

 煙草や暴力、薬が当たり前の世界なので、最初からレーティング作品の予定でした。最終的に性的な描写が加わりフルレーティング作品になりました。

 物語は①主人公の日常を追うシーン/②日常が崩壊していくシーン/③謎のキーを握る人物と出会い行動していくシーン/④謎を知った主人公が最後に行動していくシーンという流れで進んでいきます。

①日常を追うシーン

 ただいつものように午後の時間が流れていきます。しかし最初メイヴィスは、それが現実の世界では無いことに気づきません。ここではジェイミーが見つからないという事態を軽めに表現し、まだ大事にはいたって無いという雰囲気で進めるように努めました。

 ただし何気ないように見える場面が、物語上では大事なシーンだったりします。

 よってメイヴィスが目覚めた時に周りに置いてある物、駐車場で見かける車、各サブ・キャラクターとの会話など、伏線として使われる要素を散りばめつつ、それぞれ主張しすぎないように注意しました。

 また初っ端からいろいろ出てくる小物は、アメリカンライフと退廃する生活を雰囲気で表そうと選んだつもりです。

以下、設定からのコメントです。

・主人公メイヴィスのイメージは、若い頃のアヴリル・ラヴィーンです。

・樽出しのウィスキー、強いけど美味しいです。私がバーで良く飲んでいたので出してみました。

・メイヴィスの愛車は日本では流行らない荷台のあるトラックタイプのピックアップ車です。色は白で、メーカーはトヨタです。

・タバコのメーカーは、女性が吸いそうなイメージでウィストンにしたのですが、後から日本産のタバコと知りました(汗)。

・ダイナーの店主アルバートと妻のイメージは、絵本や子供番組の「おさるのジョージ」に出てくるシェフのビスケッティ夫婦です。猫のニョッキいないけど。

・アメリカのボーリング場って場末感ありませんか?

・拳銃がグロックなのは、どこかの漫画でこの銃がコンパクトで高性能だと描かれていたからです(マスターキートンだったかな)。

・ドル=バックス(Bucks)と言うらしいのですが、こんな風に会話で使われるのかは謎です。

・登場人物の名前は、西洋で人気がある名前のサイトを参考に、姓名を組み合わせました。

②日常が崩壊していくシーン

 子供が見つからないことが問題ではなく、存在自体を消された事が異常だと気づいていく主人公。

 起こった事が突拍子すぎるとリアルさが失われ「異世界とかファンタジーじゃん」となってしまうので、ここでは主人公が事実を拒んでいるのを利用して「まだ現実だ」という可能性を残していくように進めてみました。

・端末を「ターミナル」と表現する人はUNIXオタク、キーを打つことを「パンチ」と言うのはハヤカワSFが好きな人だと思います(笑)

・虹彩が虹色の人ってアップで映ると素敵ですよね。日本で有名な方といえばベッキーさんですね。

・FOXと書くと伏せ字にならないのでFEX。

・英語と日本語のスラングが混じってしまうのは翻訳本では仕方ない所でしょうか?

・アメリカは警察組織や組織毎の役職の数が多すぎる! 調べていて混乱しました。

③謎のキーを握る人物と出会い行動していくシーン

 酒場のシーンから先、一般人とは異なるキーマン(ガール)を登場させています。そろそろ主人公が、今いる時空が現実とは異なる世界だと気づき始めます。

 ここで出てくる医師のケンは「大量の薬を投与して行う催眠療法的なアプローチを使って、メイヴィスの脳にアクセスしている」という設定になっています(作者に医学知識はありませんので、それっぽくボカしています)。

 バーでケンを刺す男。彼は当初、メイヴィスの体の中にいる負(死)の要素で、彼女を死から救おうとする物を排除する特別な存在でした。なので不思議な光るナイフを持っていたりするのですが、文章を読むとただの強盗のようになっていますね。説明不足ですみません。

 そして異常過ぎる最低男のシトラスさん。彼は超常現象も何も操れないただの死者のひとりです。メイヴィスが忘れようとしている暗い過去の記憶の象徴として、登場させた人物でした。登場シーンからぶっ飛んでいて、ラストも妊活しようとして脳を吹き飛ばされて終わるという……とにかく最低キャラを貫かせて頂きました。

 そしておしゃまな少女ジゼル。後半のナビゲータをつとめる大人っぽい少女は、メイヴィスの幼馴染みです。彼女も心に後悔を持つ死者のひとりなのですが、メイヴィスがこの世界に来た事をきっかけに、心の一部が負のループから解き放たれ、吸い寄せられるようにメイヴィスの元に現れた、という裏設定です。

 結果的にジゼルは、主人公を強姦から救い、気づきと生の世界へ戻っていくきっかけを与える大事な役目を果たします。

・エメラルドアイはカクテルの一種です。

・ジゼルのような子供が銃をぶっ放せるのかどうか(当たるのかどうか)は気になる所。撃てるけれど、きっちり狙うのは無理だと思います。これは銃を撃ったことのある私の感想です。

・スポンジ・スプーキー=スポンジ・◯ブのもっと可愛いやつ。

・ジゼルの集めている新聞記事の切り抜きは、各人の死んだ事実を記す記録簿、という設定です。

・『エレン・デジェネレス・ショウ』というクイズ番組は存在しません。ただしクイズは実在する物を頂戴しました。

・ジゼルの目が赤い事にあまり意味はありません。死者っぽいかな、ぐらい。

・パヌッキーは……あります!!(実在するデザートです)

・スキレット=小さいフライパンです。

④謎を知った主人公が最後に行動していくシーン

 ここから、それぞれのサブキャラたちの()く末を描いていく話になります。

 一応、それぞれにメイヴィスが関わっていき、彼/彼女らの人生を変える――いわゆる成仏させていく――のですが、各人の最後が本当に満足だったかどうかは、難しいところです。

 そもそもメイヴィスは、自分が関わった事で変化したサブキャラたちの結末を見ていません。あくまでも各人の事情を知ってしまった以上、まったく干渉しないまま世界を去るのが嫌だった。それぞれにきっかけを与える行動をしたというケジメがあれば、後悔の世界を去る決意が生まれる――そう考えていたのかもしれません。

 最終話はもっと書くべきだったかもしれません。けれど最後は軽めの終わり方でいくと決めていたので、あえて短くしました。

・ハマーのような巨大な車をピンクに塗るのに何ドルかかるのか、ぜひ知りたいところです。

・「インターセプター」はあるメーカーの古い警察用車両の名前です。

・東洋産の甘酸っぱいレモンって何? と書いていて思いました汗

・ニュートラローフというクソ不味い囚人食が実在するそうです。脱走や喧嘩する元気を失くすためでしょうか……。

・「Times New Roman」よりも「Chicago」フォントの方が好きです。でも古いMacユーザしか喜ばないので止めました。

 お話のあとがきは以上になります。

 今回はとにかく時間がなくて、実生活の数十分の隙間で懸命に書いて、出来たものを張り合わせて何とかお話にしたという感じでした。

 途中で何度も、この話の落とし所が分からずに、エタリングの危機を迎えましたが、こうしてあとがきまで書けたことをとても嬉しく思います。

 最後に、あとがきのスミまでお付き合い頂いた心優しい皆さまに、感謝を述べさせて頂きます。本当にありがとうございました。
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