第7話 黒牙

文字数 865文字

陽光はオレンジの里へ急いでいた。
もう少しで里に着くところだったが、彼の前に突如バーミンズの群れが現れた。
これまでの積もり積もった鬱憤が、この予期せぬ遭遇をきっかけに爆発した。
今、陽光は一人。
彼を止める者は誰もいなかった。
感情のままに、彼はバーミンズの群れに向かって突進した。

陽光はバーミンズを次々と切り伏せていったが、数の力には敵わず、徐々に押され始めた。
突然、彼は強い衝撃によって吹き飛ばされ、地面に倒れた。
起き上がろうとすると、そこにはバーミンズの首領「黒牙」が立ちはだかっていた。
「もう勝ち目はない。降伏するか、それともここで命を終えるか?」黒牙はそう言い放った。
陽光は全ての力を振り絞って立ち向かったが、激しい斬り合いの後、再び強烈な一撃を受け吹き飛ばされた。
今度は立ち上がることができなかった。

黒牙がとどめを刺そうと迫ったその時、突如、彼はうめき声を上げて倒れ込んだ。
その様子を見たバーミンズたちは恐怖に駆られ、一目散に逃走した。
「おい、大丈夫か?」の声に、陽光はようやく立ち上がり、声の主に感謝の言葉を述べた。
助けの手を差し伸べた者はレモンの里から来た「光輝」と名乗り、周辺の里の様子がおかしいと感じ、様子を見に来たと語った。
「これは一体どういうことだ?」と光輝に尋ねられ、陽光はバーミンズの脅威について説明した。

一旦、光輝は陽光の旅に同行することに決めた。
彼らがその場を離れた後、意識を取り戻した黒牙は「許さんぞ」と呟きながら去っていった。

オレンジの里に到着した陽光は、住人たちにこれまでに起きた出来事を説明し、安全のために竜の里へ避難するよう提案した。
オレンジの里の住人たちは渋々ながらも、その提案に従った。皆が里を一望できる場所に到達した時、彼らの目の前に広がっていたのは、黒い影に覆われた里の光景だった。
黒牙が新たな軍勢を率いてオレンジの里を襲っていたのだ。
その光景に住人たちは恐怖に震え、嗚咽する声が聞こえた。

陽光は皆を励まし、「さあ、行こう」と声をかけて先頭を歩き始めた。
彼の目には、強い決意が宿っていた。
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