第3話 黄風と陽光

文字数 1,077文字

突如として暗雲が立ち込め、再びバーミンズが押し寄せてきた。
中でも黒鋼虫という新たな強敵が、彼らにとって未知の脅威となった。
赤鬼と紫影が鎧蟻と白蛾に立ち向かう中、黄風は黒鋼虫へと挑んだ。

二人の首領を倒した後、黄風の勇気と決断が試される瞬間が訪れた。
彼は敵の猛攻を機敏に避けながら、黒鋼虫の堅固な甲殻に隙間を見つけることに成功。
全力を振り絞って背後から一撃を加え、黒鋼虫に致命傷を与えた。だが、その瞬間、黄風もまた重傷を負うこととなった。

黒鋼虫を倒した後、黄風は力尽きて地に倒れ、その光景に住民たちは言葉を失った。
紫影が彼のそばに駆け寄り、彼の手を握りながら、彼女の目には戦友を失う悲しみと、これからの戦いへの決意が映った。
赤鬼もまた、黄風に最大の敬意を払い、その勇気を心に刻んだ。

黄風は最後の力を振り絞り、動揺する住民たちに向かって言葉を発した。
「心配するな、自分は使命を果たせた。これで良いのだ」と。
その言葉を残し、黄風は静かに息を引き取った。

住民たちは黄風を取り囲み、涙しながら彼の勇気を讃えた。
彼の犠牲は、ブドウの里の人々に絶望の中でさえ希望を見出す力と、困難に立ち向かう勇気をもたらした。
黄風の物語は、里の歴史に深く刻まれ、後世まで語り継がれることとなるだろう。

赤鬼と紫影はオレンジの里へと向かった。
黄風の事を伝えるために。
長老はこの二人の訪問を重く受け止め、黄風の英雄的な業績と彼の犠牲に対する敬意を示すため、全村人を集めて集会を急遽開催した。
集会は里の中心地にある広場で行われ、その夕暮れ時の空は、まるで黄風を偲んでいるかのようにオレンジ色に染まっていた。

集まった住民たちは、静かに座り込み、赤鬼と紫影から黄風の最後の戦いについての詳細を聞いた。
赤鬼の深みのある声で語られる物語に、紫影が時折、黄風の勇敢さと彼が担った使命の重要性を強調する言葉を交えた。
二人の語りには、黄風への深い敬愛と、彼が遺した深い意味が込められていた。

この話に耳を傾けながら、住民たちは涙を流し、黄風の英雄的な姿を思い浮かべた。
そんな中、若者一人が人々の前に立ち上がった。
彼の顔には、悲しみを乗り越えた強い決意が見て取れた。
「私の名は陽光です」と彼は自らを紹介し、赤鬼と紫影に力強く語りかけた。

「黄風様の意志を引き継ぎ、私はバーミンズを討伐する旅に出ます。赤鬼様、紫影様、どうか私と共にこの戦いに臨んでください。」

赤鬼と紫影は陽光の決意に応え、彼と共に新たな冒険の旅に出ることを決意した。
そして、村の人々も彼らの旅立ちを心から祝福し、黄風の意志を継ぐ若者の勇気を讃えた。
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