第33話
文字数 832文字
行きの車中は談笑を交えながらの道中となった。目的地は埼玉県の県境に位置する教会だ。
築年数も古く利用者も年々減ってきており、詩織がオーナーに問い合わせ撮影交渉すると、
宣伝してくれるなら無料で使ってくれて構わないとの返答をもらった。
製作費を兎にも角にも最小にしたい彼女達にとって僥倖でである。
すぐさま快諾し団長の野沢にスケジュールを合わせ、おっとりがたなで向かった。
劇団員とみなみ達で10人集まった。なので6人乗りのワンボックスを2台レンタルして二手に分かれて出発する。
詩織達の車に4人乗り後ろの空いたスペースには、行きしなに立ち寄ったレンタル機材屋で調達した撮影器具を積んでいる。
「でもよくこんなに人数揃えてくれたわね。みなみから聞いた話だと排他的な子が多かったみたいだったけど」
詩織がルームミラーで目線を合わせ疑問をぶつけた。
「そこは僕の腕の見せ所ですよ」団長はそう言って後頭部をかいた。
「確かに批判的な子は多いですけど、協力的な子も中にはいて、そういう人達に声を掛けたんですよ。想定外にも熱狂的なファンが何人かいて」
「私がそのうちの1人です」団長が言い終わる前に美香が割り込んだ。右手を直立に上げている。
「ドラマで可憐で怪奇な演技をみてファンになりました。この劇団に入ったのもみなみさんの古巣だからです」
熱のこもった口調ではっきりと伝えた。
「えっ、ほんと?」当の本人は素っ頓狂な声をだし、見開いた目で振り返る。
「はい、SNSも毎日チェックさせてもらってます」
そういうとスマホを取り出してみなみのアカウントを開いて掲げた。
見ると全てのツイートを褒め言葉を添えてリツイートしている。
内容も驚いたが画面から顔をずらし覗かしてくる美香は尊敬の眼差しで見つめている。
神を崇めている信者のようだ。どうやら神格化してしまったようだ。
メディアの見せ方ってすごいなとみなみは胸の内で感心した。
悪い気はしなので、ありがとうとと言い、美香の頭を撫でてやるとくしゃっとした笑顔で喜んだ。
築年数も古く利用者も年々減ってきており、詩織がオーナーに問い合わせ撮影交渉すると、
宣伝してくれるなら無料で使ってくれて構わないとの返答をもらった。
製作費を兎にも角にも最小にしたい彼女達にとって僥倖でである。
すぐさま快諾し団長の野沢にスケジュールを合わせ、おっとりがたなで向かった。
劇団員とみなみ達で10人集まった。なので6人乗りのワンボックスを2台レンタルして二手に分かれて出発する。
詩織達の車に4人乗り後ろの空いたスペースには、行きしなに立ち寄ったレンタル機材屋で調達した撮影器具を積んでいる。
「でもよくこんなに人数揃えてくれたわね。みなみから聞いた話だと排他的な子が多かったみたいだったけど」
詩織がルームミラーで目線を合わせ疑問をぶつけた。
「そこは僕の腕の見せ所ですよ」団長はそう言って後頭部をかいた。
「確かに批判的な子は多いですけど、協力的な子も中にはいて、そういう人達に声を掛けたんですよ。想定外にも熱狂的なファンが何人かいて」
「私がそのうちの1人です」団長が言い終わる前に美香が割り込んだ。右手を直立に上げている。
「ドラマで可憐で怪奇な演技をみてファンになりました。この劇団に入ったのもみなみさんの古巣だからです」
熱のこもった口調ではっきりと伝えた。
「えっ、ほんと?」当の本人は素っ頓狂な声をだし、見開いた目で振り返る。
「はい、SNSも毎日チェックさせてもらってます」
そういうとスマホを取り出してみなみのアカウントを開いて掲げた。
見ると全てのツイートを褒め言葉を添えてリツイートしている。
内容も驚いたが画面から顔をずらし覗かしてくる美香は尊敬の眼差しで見つめている。
神を崇めている信者のようだ。どうやら神格化してしまったようだ。
メディアの見せ方ってすごいなとみなみは胸の内で感心した。
悪い気はしなので、ありがとうとと言い、美香の頭を撫でてやるとくしゃっとした笑顔で喜んだ。