第29話
文字数 575文字
「えーなんだよ、つまんねえ」「芸能界はネットと違って規制厳しいんだからしようがないだろ」
唇を尖らせ不満を口にする弟を、宥める兄。そして不躾な質問をする弟、それを形だけ制する兄。
このパターンが兄弟の常套句となっていた。
だがこのお決まりの遣り取りももひょんな事から終焉に差し掛かっていく。
「あ、じゃあ裏で態度悪い俳優さんは誰ですか?」「お前止まんねーな」
「そういうのは言えないですし。あえて言うなら私ですかね」
二人は大口を開けて笑った。
「あのう」するとみなみが哄笑の間に入るこませるように呟いた。
「無駄口叩いてたらいつまでたっても終わりませんよ」
一瞬にして空気がひりついた。空調の音がむざむざと響いた。
二人は驚愕し顔を見合わせている。彼女は深く息を吸い込んで次の言葉を放った。
「このエリアは私が責任持って胃袋に押し流すので、あなた方はナゲットとポテトをお願いします」
「あ、はい」二人は呆気に取られた表情で生返事をする。
みなみはハンバーガーを口いっぱい頬張り二、三咀嚼してコーラで流し込んだ。
これを機械のように一定のリズムでおこなわれる。
二人はその場景を唖然として瞼に焼き付けていた。
そして彼女に倣いナゲットを口に詰め込こむ。兄弟は意を決した顔つきになっていた。
スタート時は談笑しながらだったがいつしか大食い番組さながらの絵となっていた。異様な光景だった。
唇を尖らせ不満を口にする弟を、宥める兄。そして不躾な質問をする弟、それを形だけ制する兄。
このパターンが兄弟の常套句となっていた。
だがこのお決まりの遣り取りももひょんな事から終焉に差し掛かっていく。
「あ、じゃあ裏で態度悪い俳優さんは誰ですか?」「お前止まんねーな」
「そういうのは言えないですし。あえて言うなら私ですかね」
二人は大口を開けて笑った。
「あのう」するとみなみが哄笑の間に入るこませるように呟いた。
「無駄口叩いてたらいつまでたっても終わりませんよ」
一瞬にして空気がひりついた。空調の音がむざむざと響いた。
二人は驚愕し顔を見合わせている。彼女は深く息を吸い込んで次の言葉を放った。
「このエリアは私が責任持って胃袋に押し流すので、あなた方はナゲットとポテトをお願いします」
「あ、はい」二人は呆気に取られた表情で生返事をする。
みなみはハンバーガーを口いっぱい頬張り二、三咀嚼してコーラで流し込んだ。
これを機械のように一定のリズムでおこなわれる。
二人はその場景を唖然として瞼に焼き付けていた。
そして彼女に倣いナゲットを口に詰め込こむ。兄弟は意を決した顔つきになっていた。
スタート時は談笑しながらだったがいつしか大食い番組さながらの絵となっていた。異様な光景だった。