第12話
文字数 1,041文字
「なるほどそういうことね」画面をにらめ付け詩織は言った。
親指を噛んでる様子から察するに好い事ではなさそうだ。
「なんか分かったの?」スマホに視線を落としていたみなみが顔を上げた。
「今その龍夫って人を調べてみたんだけど、有名な配信者みたいね。
しかも配信してる内容が暴露だったりスキャンダルを取り上げてだったりと週刊誌顔負けの過激なコンテンツね。
この人自体も毒を含んだで歯に絹着せぬ物言いも相まって人気を博してわ」
「へえ、そんな人いるんだ」みなみは感心して
「ちょっと見てみよう」と言い動画サイトで検索してみた。
龍夫とついた動画が無造作に溢れていて、何十万と再生されているのがほとんどだ。
すごい人気だなあとぼやいていると、今ちょうど配信しているのに気づいた。
「今やってるじゃん」好奇心旺盛なみなみはすぐさまクリックした。
はしゃいだ様子でまじまじとみる。そこにはメガネを掛けたやせ細った顔の男が映し出された。
画面半分をその男が占拠しており、カメラが近いせいか頬ボネが浮き出ているのが分かる。
残りの半分の画面は視聴者のコメントが映し出されていた。
えらく口の悪いコメントが流れる。
ここは民度が低いなと思うよりも先に気づいたのが、コメントの流れる速さだ。
スポーツカーが眼前を通過した時のような速さで、打ったコメントが流れる。
相当な人数が書き込んでるのだろうと予想される。
画面の仔細を注視して見た。視聴者数が表示されている。
「え?5万人」みなみの口から驚愕な声が発せられた。今この男を見てる人が5万人もいるのだ。
先日の配信で初めてとは言え視聴者数が1000人前後に留まっていたみなみにとって、
この人の器量は一目瞭然だった。
この龍夫という男に何に魅力を感じてこんなに大勢の人が時間を割いて視聴しているのだろう。
みなみの頭の中は疑問とそれを知りたい欲求で埋め尽くされた。
お世辞にも整ってると言い難い顔立ちだ。街で見かけてもすぐに視界から外す自信がある。
と言うことは見た目以外の何かがあるということだ。
人気の基準で最も重要なのが容姿だと考えていたみなみにとって常識が覆ったような衝撃を受けた。
その後も観察を続けると龍夫の特徴や才能に気づいてくる。
まずは喋りのうまさだ。地頭がいいのだろう彼の話は理路整然としていて聞き手にわかりやすく伝わりやすい。
そしてユニークさも持ち合わせていた。
何回か声を出して笑ってしまった程だ。
重低音を効かした声でありながら鷹揚とした口調なのも耳に心地よく、聞いていて気持ちがいい。
親指を噛んでる様子から察するに好い事ではなさそうだ。
「なんか分かったの?」スマホに視線を落としていたみなみが顔を上げた。
「今その龍夫って人を調べてみたんだけど、有名な配信者みたいね。
しかも配信してる内容が暴露だったりスキャンダルを取り上げてだったりと週刊誌顔負けの過激なコンテンツね。
この人自体も毒を含んだで歯に絹着せぬ物言いも相まって人気を博してわ」
「へえ、そんな人いるんだ」みなみは感心して
「ちょっと見てみよう」と言い動画サイトで検索してみた。
龍夫とついた動画が無造作に溢れていて、何十万と再生されているのがほとんどだ。
すごい人気だなあとぼやいていると、今ちょうど配信しているのに気づいた。
「今やってるじゃん」好奇心旺盛なみなみはすぐさまクリックした。
はしゃいだ様子でまじまじとみる。そこにはメガネを掛けたやせ細った顔の男が映し出された。
画面半分をその男が占拠しており、カメラが近いせいか頬ボネが浮き出ているのが分かる。
残りの半分の画面は視聴者のコメントが映し出されていた。
えらく口の悪いコメントが流れる。
ここは民度が低いなと思うよりも先に気づいたのが、コメントの流れる速さだ。
スポーツカーが眼前を通過した時のような速さで、打ったコメントが流れる。
相当な人数が書き込んでるのだろうと予想される。
画面の仔細を注視して見た。視聴者数が表示されている。
「え?5万人」みなみの口から驚愕な声が発せられた。今この男を見てる人が5万人もいるのだ。
先日の配信で初めてとは言え視聴者数が1000人前後に留まっていたみなみにとって、
この人の器量は一目瞭然だった。
この龍夫という男に何に魅力を感じてこんなに大勢の人が時間を割いて視聴しているのだろう。
みなみの頭の中は疑問とそれを知りたい欲求で埋め尽くされた。
お世辞にも整ってると言い難い顔立ちだ。街で見かけてもすぐに視界から外す自信がある。
と言うことは見た目以外の何かがあるということだ。
人気の基準で最も重要なのが容姿だと考えていたみなみにとって常識が覆ったような衝撃を受けた。
その後も観察を続けると龍夫の特徴や才能に気づいてくる。
まずは喋りのうまさだ。地頭がいいのだろう彼の話は理路整然としていて聞き手にわかりやすく伝わりやすい。
そしてユニークさも持ち合わせていた。
何回か声を出して笑ってしまった程だ。
重低音を効かした声でありながら鷹揚とした口調なのも耳に心地よく、聞いていて気持ちがいい。