第8話:東京と横浜への新婚旅行

文字数 2,052文字

 その後、話は続き1時過ぎまで興奮して眠れなかった。いつの間にか寝て起きると8時過ぎ、恵子さんは、化粧し終えた。貞友龍一は、行く用意をして朝食を取りに行くと9時近くでホテルの清算を終えて、東京駅構内のカフェに入った。この頃、東京駅は、降りてくる会社員が、まるで泉から湧き出る水のごとく後か後から大勢出てきた。朝食後、東海道線で横浜駅まで行き、横浜駅近くの東急ホテルにチェックインして荷物を置いてもらった。

 その後、山下公園へ行くバス乗り場を聞いてバス乗り場へ向かった。指定した番号のバスに乗って停留所のアナウンスを聞いていた。20分程で、次は、山下公園前と言ったので降車ボタンを押し停留所に泊まり降りた。すると目の前が山下公園。そして、その先の交差点の向こうが、マッカーサーが宿舎にしていたホテル・ニューグランドだとわかった。その後、山下公園のバラや多くの花を見て回り噴水をみた。

 埠頭には、氷川丸が係留されていた。有料だったが、中に入った。古い船のわりに素晴らしい設備だったのには驚いた。将来、クルーズの旅も経験してみたいわと、貞友龍一に言うと、是非行こうと言ってくれた。その後、赤い靴をはいていた女の子像の見て写真を撮った。それにしても素敵な花が多く、東京では感じなかった安らぎを感じて、ここが好きになった。海辺を眺めながら歩くと、大都会にいると言う感じがなく、安らぎさえ感じた。

 そのまま進むと、一番端の方にインド水塔と言う独特の形をした四角い台の上の丸い屋根の塔があった。そこの石碑に英語で文字が書いてあった。恵子さんが、訳すと「1923年9月1日の地震で失われた私たちの同胞を偲んで、水飲み場を横浜市に贈呈いたします」と書いてあった。それを伝えると何て素敵だろう言いながら涙を拭いた。以下に、原文を書いておきます。

The Drinking Fountain Presented to the City of Yokohama.
In Memory of Our Countrymen.
Lost in Earthquake,September 1,1923.
The Indian Community.

 その後、調べて、横浜港に臨む山下公園の西端「大さん橋側」にあるインド式の水飲み場がインド水塔。関東大震災「大正12年」では、横浜在住の在日インド人が多数被災したが、その救済のために横浜市民が尽力。震災の瓦礫処分場だった山下公園に、横浜市民への感謝と同胞の慰霊のために昭和14年12月に在日インド人協会が建立したのがインド水塔であった。大正12年の関東大震災では、横浜在住のインド人116人が被災し死者が28人。

 個性的なデザインのインド水塔の設計は、横浜市の建築課長の鷲巣昌「わしずあきら」が、行った。関東大震災の復興のために同潤会「どうじゅんかい」が、都内各所「代官山、神宮参道など」に鉄筋コンクリートの集合住宅の建設を開始した。それが同潤会アパートであり、鷲巣昌「わしずあきら」は、川本良一の配下として、その日本初の洋風アパートの建設にも関わった。

 イスラム寺院の中庭に配される泉亭のような造りで、ドーム天井には見事なモザイク画も配されている。本来は山下公園の水飲み場ですが、現在は衛生上の問題からモニュメントとして保存され、横浜市認定歴史的建造物となっていた。次にホテルニューランドで昼食を食べましょうと恵子が言った。歩いて10分でホテルに入り昼食を食べたいと言うと、中庭の見えるレストランと海の見える2階のレストランどっちにしますと聞かた。

 そこで、中庭の見えるレストランと答えた。すると案内してくれた。今日は、席が空いてますので、どうぞと言われ、メニューをワン・プレートランチを2つ注文した。中庭が見渡せ、まるで西洋のお城と言う感じであった。テーブルに着き、ゆっくりと昼食を食べはじめた。まるで夢のようと言いながら恵子さんは、嬉しそうにパスタとサラダを食べ始めた。昼食後、一度、ホテルの中も見たいわと告げた。

 まず、正面玄関から2階へ、続く、赤い絨毯が敷かれた階段を上がった。2階に着くと右側にある豪華なソファーに座って、秋の黄色に染まったイチョウの木を見て、感動し、思わず、素晴らしいわと告げた。その後、少し休んでから、ホテルを出た。そして、地図を片手に恵子さんが、坂道を登り始めた。20分位、歩くと海の見える丘公園に出た。公園の中に入るとバラの素敵な香りと色とりどりに咲き誇るバラの花が、たくさん咲いていた。

 恵子さんは、片っ端から写真を撮っていた。それが終わると公園の奥の方へ進み、海が一望できる場所へ行き、眺めた。すると、広い海が遠くまで見渡せるわと言い、何て素敵なんでしょと興奮した。その後、公園を出ると歩き始め、外人墓地をみて、更に進み、山手234番館をみて、何枚か写真を撮り、また進むと白くて大きな家が見えた。そこがエリスマン邸と言い1階の暖炉のある部屋などを見て回った。
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