一文小説集「墓石/痒い/震え」

文字数 145文字

 母の墓参りに行くと、母の墓石の影だけが、他の墓石の影と反対方向に延びている。

***

「位牌が痒い」と言って、仏壇の父の位牌をガリガリやり始めた母の指の爪が、剥がれる。

***

 友人と酒を飲んでいる時、友人のスマホが震えていることを指摘すると、友人は「命日だからね」と言って黙り込んでしまった。
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