第２話・さとる、春を売る？
文字数 761文字
やっべぇ、金が無え！
給料日まで保つかなぁ
おや、さとる君
金欠ですか？
そうなんすよ真栄島さん！
みつるの塾の月謝払ったら今月マジやばくて……財布にあと千円しかないっす
（葵久地さんの調査によれば、彼は母子家庭で、家に居着かない母親の代わりに弟の面倒を見ているという。若いのにお金のやりくりで苦労して、不憫なことだ）
こうなったら、もう一つバイトを増やすしかないっすね
えっ！？
昼間は派遣で工場勤務、夜は居酒屋でバイトしてるんだろう？
これ以上掛け持ちで働いたら体を壊してしまうよ！
居酒屋の常連さんから割のいいバイトがあるって前々から誘われてたんすよ
楽な仕事らしいんで、やってみようかなーと
ほう( ˘ω˘ )
（あ、怪しい……！）
ちなみに、
どんなバイトですか？
指定された場所に行って、お客さんと２時間くらい一緒に過ごすだけって聞いてます
アウトーーッ！！(；ω；)
駄目です、やめた方がいい
でも、時給めっちゃ良いらしいんすよね
単発でも入れる仕事ってなかなか無いから迷ってて……
みつるに腹いっぱい食わしてやりたいし
（この子たちにも生活がある。何も出来ない以上、私が口を挟んでは……いや、前途ある若者がみすみす誤った道に迷い込むのを見過ごす訳には……）
（そうだ！）
さとる君
この前は説明を省いてしまいましたが、シェルターに入ると良い事があるんですよ
えっ？そうなんすか？
家賃、光熱費、食費、その他費用は全て国が負担してくれる
しかも、内部で教育を受けることも出来る
病院もあるんですよ
すげー！(*⁰▿⁰*)
そんな夢みたいな場所があるんすか！？
こうしちゃいられねーや、早くシェルターに行きましょう！
ははは、そんなに急がなくてもシェルターは逃げませんよ
シェルターで家族を保護してもらう代わりに協力者たちは危険な戦場に行かねばならないのですが、それは本編の話……
