プロローグ『洞穴の渇望』

文字数 270文字

 草原に、こっそり掘られた洞窟(どうくつ)が。
 耳をすませば、奇妙な音。

 ザクザク キーキー コンコン スイスイ 

 聴こえてきたなら、その穴こそ、〈創作の精(レプラホーン)〉の作業場(さぎょうじょう)
 日がな一日針仕事。

 カンカン ジョキジョキ ギーギー コツコツ

 おもしろそうな その穴は、決して中を(のぞ)かぬよう。
 カレ等はとっても臆病者(おくびょう)だから。

 トコトコ サクサク コロコロ カチカチ

 〈創作の精(レプラホーン)〉は作り続ける。
 誰かが認めてくれるまで。

『来い 汽車よ 来い 来い 来い
これは真紅(しんく)(きぬ)(くつ)
これはスミレのジャケットじゃ
来てくれ 来てくれ ワタシの汽車よ
ワタシの我が子を羽織っておくれ』
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