第7話 逃げ上手の公女との邂逅
文字数 2,380文字
アニータの言った通り、パク・ヨンス率いる次の追手が迫ってきた。
公女とアニータは馬とグリフォンにそれぞれ乗り、ビスチェとバーニーは全速力で走って逃げる。
途中アニータは少し後ろを振り返って敵部隊の様子を見てみた。すると、歩兵だけでなく弓を携えた騎馬兵も数多く存在し、しかも各々が良質な銀製武器を携えているのが見えた。
とてもゴロツキの私兵とは思えないほどの装備であり、彼らを雇った酒場のマスターがかなり裕福であることが伺える。
(あのゲス共、金だけは随分持ってるようね)
そんな事を考えていると、
「撃て撃てぇぇぇぇ!! 取り巻きをぶっ殺せええええええ!!!」
先頭にいるパクがそう叫ぶと弓を携えた騎馬兵たちが一斉にこちら目掛けて矢を放ってきた。
アニータは自慢のグリフォン捌きでうまく躱していくが敵側の弓の仕掛け方も上手いため、徐々に追い込まれていく。するとそんな様子を見た公女が向き直り、
「控えぃ!! 我こそがフルーレ公国第10代公女パティ・D・フルーレであるぞ!!」
と、なんといきなり敵側を挑発しだした。流石に敵側も怯んだのか困惑したのか追撃が揺らいだ。その隙にアニータは大きく回避する事に成功した。
「公女様!?」
「そなただけに苦しい思いはさせぬ! 共に逃げ延びるぞ、アニータよ!!」
「公女様…はい!共に逃げ延びましょう!!」
その様子を見たパクは、
「あのクソガキ舐めた真似しやがって…!俺があのガキを仕留めてやらぁ!!」
そう言って翼のついた黄金の弓を引き絞り、公女目掛けて連続で矢を放ってきた。
「気を付けてください! 連射弓です!!」
「あいわかった!!」
パティは得意の馬術で一つ目の矢を交わし、二つ目の矢を剣で弾き落とした。パクに続き敵の騎馬兵たちも一斉に矢を放ってきたが今度はバーニーが剣をぶん回して矢を吹き飛ばす。一方ビスチェは矢が飛んでくるたびに怖がりながら逃げるのに必死であった。
(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)
公女一行が矢や追手からほうほうのていで逃げること数時間、バーニーの案内でキンバリー村に逃げ込む事に成功した。しかし、追手が迫ってきておりあまり時間もなかった。更に悪いことに
「ごめん、みんな…俺、さっきの逃避行で足をつってしまったよ…」
バーニーが足をつってしまった。アニータはあきれながらも
「あ~、あんたそういうそそっかしいとこあったわね…一先ず隠れてて。後は何とかするから」
と返した。
「すまん…」
そういうとバーニーは足を引きずりながら別の場所へ避難しにいった。
———一方その頃、BAR Tatsuyaでは———
「ん?なんだよ騒がしいなオイ…」
「タツヤさん、あたしが様子を見てきます!」
「おう頼んだぞ」
そう言うとレナリアはBARの外に出て門の様子を見にいった。すると、村の外から弓や斧やらを持った集団が押し寄せてきているのが見て取れた。恐らくタツヤの命を狙いに来た者の仕業だろうか…?その様子を見たレナリアはすぐさまBARに戻り、
「タツヤさん、大変です!敵の軍勢が迫ってきています!こちらへ!」
「へ…マジ?」
タツヤさんは困惑しながらもレナリアに連れられて、BARの外へ出た。するとそこには公女とその配下らしき女性とグリフォンライダーの女性がいた。
「おい、これは一体どういう事なんだよオォン?」
そうレナリアに聞くと、公女らしき少女がタツヤに話しかけてきた。
「お主がタツヤじゃな?余はパティ・D・フルーレ。フルーレ公国の公女じゃ★。よろしゅう頼むぞ★」
「あぁ、フルーレ公国の公女スか。レナリアから話は聞いたぜ。よろしくナス」
簡単に挨拶を済ませると、グリフォンライダーの女性がタツヤに話しかけてきた。
「貴方がタツヤさんですね?実は城下町のキム・スンホンという喫茶店のオーナーの男が貴方を商売敵と見做して、用心棒のパク・ヨンスという男と一緒に貴方の命を狙ってこの村に来ています。その上、公女の御命も危ない状況です。貴方の活躍はお伺いしております、何卒ご助力いただけませんか?」
「喫茶店のオーナーが俺の命を狙いに来てるだとぉ!?随分迷惑な話じゃねえかオォン?キムとパクの野郎、死ぬ寸前まで痛めつけて俺の奴r…従業員にしてやるよオラァ!!」
「ご助力ありがとうございます!あの男達を懲らしめて上げましょう!私、アニータって言います!よろしくお願いしますね!」
「おう、よろしくナス!頼りにしてるぜぇ~?」
するとそこへ、
「何の騒ぎかと思えばそういうことか。話は聞かせてもらった」
どこかで聞いたような声が聞こえた。声のする方を振り向くとなんとあの時共闘したキンバリー村の自警団の姿が…!
「タツヤ、私達も手を貸すぞ!」
「奴らを追っ払いましょう!」
「困ったときはお互いさまって言うからねぇ」
「新しいホモビモデルですって?全力で捕獲しましょう!」
理由こそ様々だが自警団も来てくれた。彼らも居れば百人力だ。
「みんなありがとナス!奴らを芸術品にsis…してやるぜ!!」
そう意気込んでキム達との戦いに臨まんとしていると突然どこからともなく黒装束の少女がタツヤ達の前に凄まじい速度で走ってきた。
「Hello! My name is Chelsea・C・Carpenter!! Nice to meet you!! Mr.Tatsuya! どうも~チェルシー・C・カーペンターことチカでぇ~す!よろしくお願いしまぁ~す!!」
「ん?あ、あぁ…よろしくナス…」
「この度はあたしが皆を杖でサポートしちゃいまぁ~す!ガンガン使っちゃってね~♪」
いきなり現れたこの少女にタツヤだけでなく一行も動揺を隠せないでいた。
(な、何という速さ…)
(何者なのかしら)
(悪い子ではなさそうだけど…?)
そうしている間にもパクの率いる軍隊は目前に迫っていた…。
公女とアニータは馬とグリフォンにそれぞれ乗り、ビスチェとバーニーは全速力で走って逃げる。
途中アニータは少し後ろを振り返って敵部隊の様子を見てみた。すると、歩兵だけでなく弓を携えた騎馬兵も数多く存在し、しかも各々が良質な銀製武器を携えているのが見えた。
とてもゴロツキの私兵とは思えないほどの装備であり、彼らを雇った酒場のマスターがかなり裕福であることが伺える。
(あのゲス共、金だけは随分持ってるようね)
そんな事を考えていると、
「撃て撃てぇぇぇぇ!! 取り巻きをぶっ殺せええええええ!!!」
先頭にいるパクがそう叫ぶと弓を携えた騎馬兵たちが一斉にこちら目掛けて矢を放ってきた。
アニータは自慢のグリフォン捌きでうまく躱していくが敵側の弓の仕掛け方も上手いため、徐々に追い込まれていく。するとそんな様子を見た公女が向き直り、
「控えぃ!! 我こそがフルーレ公国第10代公女パティ・D・フルーレであるぞ!!」
と、なんといきなり敵側を挑発しだした。流石に敵側も怯んだのか困惑したのか追撃が揺らいだ。その隙にアニータは大きく回避する事に成功した。
「公女様!?」
「そなただけに苦しい思いはさせぬ! 共に逃げ延びるぞ、アニータよ!!」
「公女様…はい!共に逃げ延びましょう!!」
その様子を見たパクは、
「あのクソガキ舐めた真似しやがって…!俺があのガキを仕留めてやらぁ!!」
そう言って翼のついた黄金の弓を引き絞り、公女目掛けて連続で矢を放ってきた。
「気を付けてください! 連射弓です!!」
「あいわかった!!」
パティは得意の馬術で一つ目の矢を交わし、二つ目の矢を剣で弾き落とした。パクに続き敵の騎馬兵たちも一斉に矢を放ってきたが今度はバーニーが剣をぶん回して矢を吹き飛ばす。一方ビスチェは矢が飛んでくるたびに怖がりながら逃げるのに必死であった。
(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)
公女一行が矢や追手からほうほうのていで逃げること数時間、バーニーの案内でキンバリー村に逃げ込む事に成功した。しかし、追手が迫ってきておりあまり時間もなかった。更に悪いことに
「ごめん、みんな…俺、さっきの逃避行で足をつってしまったよ…」
バーニーが足をつってしまった。アニータはあきれながらも
「あ~、あんたそういうそそっかしいとこあったわね…一先ず隠れてて。後は何とかするから」
と返した。
「すまん…」
そういうとバーニーは足を引きずりながら別の場所へ避難しにいった。
———一方その頃、BAR Tatsuyaでは———
「ん?なんだよ騒がしいなオイ…」
「タツヤさん、あたしが様子を見てきます!」
「おう頼んだぞ」
そう言うとレナリアはBARの外に出て門の様子を見にいった。すると、村の外から弓や斧やらを持った集団が押し寄せてきているのが見て取れた。恐らくタツヤの命を狙いに来た者の仕業だろうか…?その様子を見たレナリアはすぐさまBARに戻り、
「タツヤさん、大変です!敵の軍勢が迫ってきています!こちらへ!」
「へ…マジ?」
タツヤさんは困惑しながらもレナリアに連れられて、BARの外へ出た。するとそこには公女とその配下らしき女性とグリフォンライダーの女性がいた。
「おい、これは一体どういう事なんだよオォン?」
そうレナリアに聞くと、公女らしき少女がタツヤに話しかけてきた。
「お主がタツヤじゃな?余はパティ・D・フルーレ。フルーレ公国の公女じゃ★。よろしゅう頼むぞ★」
「あぁ、フルーレ公国の公女スか。レナリアから話は聞いたぜ。よろしくナス」
簡単に挨拶を済ませると、グリフォンライダーの女性がタツヤに話しかけてきた。
「貴方がタツヤさんですね?実は城下町のキム・スンホンという喫茶店のオーナーの男が貴方を商売敵と見做して、用心棒のパク・ヨンスという男と一緒に貴方の命を狙ってこの村に来ています。その上、公女の御命も危ない状況です。貴方の活躍はお伺いしております、何卒ご助力いただけませんか?」
「喫茶店のオーナーが俺の命を狙いに来てるだとぉ!?随分迷惑な話じゃねえかオォン?キムとパクの野郎、死ぬ寸前まで痛めつけて俺の奴r…従業員にしてやるよオラァ!!」
「ご助力ありがとうございます!あの男達を懲らしめて上げましょう!私、アニータって言います!よろしくお願いしますね!」
「おう、よろしくナス!頼りにしてるぜぇ~?」
するとそこへ、
「何の騒ぎかと思えばそういうことか。話は聞かせてもらった」
どこかで聞いたような声が聞こえた。声のする方を振り向くとなんとあの時共闘したキンバリー村の自警団の姿が…!
「タツヤ、私達も手を貸すぞ!」
「奴らを追っ払いましょう!」
「困ったときはお互いさまって言うからねぇ」
「新しいホモビモデルですって?全力で捕獲しましょう!」
理由こそ様々だが自警団も来てくれた。彼らも居れば百人力だ。
「みんなありがとナス!奴らを芸術品にsis…してやるぜ!!」
そう意気込んでキム達との戦いに臨まんとしていると突然どこからともなく黒装束の少女がタツヤ達の前に凄まじい速度で走ってきた。
「Hello! My name is Chelsea・C・Carpenter!! Nice to meet you!! Mr.Tatsuya! どうも~チェルシー・C・カーペンターことチカでぇ~す!よろしくお願いしまぁ~す!!」
「ん?あ、あぁ…よろしくナス…」
「この度はあたしが皆を杖でサポートしちゃいまぁ~す!ガンガン使っちゃってね~♪」
いきなり現れたこの少女にタツヤだけでなく一行も動揺を隠せないでいた。
(な、何という速さ…)
(何者なのかしら)
(悪い子ではなさそうだけど…?)
そうしている間にもパクの率いる軍隊は目前に迫っていた…。