第5話 悪徳マスターのご登場
文字数 2,026文字
—————本当に最低な奴は、自分のことを最低だなんて思ってやしない—————
乾巧(仮面ライダー555より)
———ゲインズ王国城下町トゥルヌンドゥス———
この町でもキンバリー村でのタツヤ達の活躍は伝わっていた。
そして城下町有数のメイド酒場「ラブ」 ここでもタツヤ達の活躍の話題で持ちきりだった。
「へぇ~そんなことがあったんですか。彼、なかなかやるみたいですねぇ。異世界から来たんですって?」
帽子をかぶったチョイ悪なバーのマスターが禿げた客と気さくに話している。
「あぁ、キム・スンホンの旦那!キンバリー村に活況を取り戻しただけでなく、あのクソ野郎をも懲らしめちまったんだよ!なかなか痛快だったぜ~あの知らせを聞いたときにゃあよ!異世界の人間も捨てたもんじゃねーな!これであの村も大分まともになるだろうぜ?ハハハハハ!」
「ハハハハ! それは何よりですね!ところで…クソ野郎って誰のことなんですか?」
バーのマスターは相槌を打ちながらもクソ野郎が誰なのか少し疑問に思ったので客に聞いた。
「最近あの村に越してきたヴァーチェ・ドラゴネルの事さ。村の人々だけじゃねぇ、俺たち町民にも散々横暴を働きやがったからなぁあの野郎。俺も通りすがりにぶん殴られて腕の骨を折っちまったんだよ。そんなことより旦那、今この城下町にフルーレ公国の公女様がいらっしゃるっつう話は聞いたかい?」
「えぇ、お聞きしてますよ。何でも外遊がお好きな方なのだとか」
フルーレ公国の公女は人格はともかく、外遊が好きで学があまりないと評判が良くなかった。そのためかゲインズ王国の一部の人間にもその悪評は伝わっている。
「自国がラドンに占領されたってのに相変わらず外遊だなんて呑気な事しなさるぜ」
「ハハハ、精神のお強い方じゃないですか。あのような事態でも平常心を保っておられる」
マスターは内心、公女を馬鹿にしながらも表向きは言い繕った。
「まぁ良い見方するとそうなのかもしれねぇけどな。ごっそさん、ふぅ~食った食った! ここの冷麺、最高にうめぇよな。メイドさん、勘定お願い!」
「確かに承りました~。いつもご利用ありがとうございますご主人様!またお越しくださいね~♪」
「いつもご来店ありがとうございます!」
勘定を済ませると客は上機嫌で店を出た。そして客が居なくなった途端、マスターは真剣な表情になり、
「さっきの話は聞いたな? フェネック、ネレア。ウチの常連客だったヴァーチェがタツヤという男にやられたそうだ。恐らくはヴァーチェはタツヤのところにいるだろう」
フェネックとネレアにヴァーチェに話し出した。ヴァーチェはここの常連客だったようで、ともすると助けに行くのかと思いきやフェネックとネレアは…
「えぇ、お聞きしておりましたわキム様。ヴァーチェにこの店の事について喋られると面倒なことになりますね」
「そうなる前に奴を殺してしまいましょう!」
有ろうことか、ヴァーチェを殺す計画を立て始めたのだった。表向きこそ善良だがこの場で本性を見せ始めたのだ。さらにネレアは、
「ついでに今後商売敵になりうるタツヤ達もこの際、殺してしまうのが得策だと思います!今後邪魔されては、こちらの商売も上がったりになってしまいますからね!」
と続けた。邪魔をするものは皆殺し、それが彼らのモットーだったのだ。
「あぁ、その通りだ。奴らを始末しにキンバリー村に向かうぞ!早急に支度するよう他のメイド達にも伝えろ!」
「かしこまりました!」
「早急に準備します!」
そこへマスターより一回り大柄ないかにもガラの悪い男が現れて、
「その話、聞いてたぜ。大事なこと忘れてるんじゃねえか?オーナーさんよ」
と話を切り出した。
「パク様、いらっしゃったのですか!?」
「おう、少し前に戻ってきたのよ。この町にフルーレ公国の公女が来てるって話してなかったか?」
「確か来ていたのだったな。間抜けな小娘だ。そうだ!あの小娘も捕らえて洗脳してメイドにすれば儲かるかもしれん!外見だけは可愛いからな!パクさん、早速小娘の捕獲に向かってくれ!!」
「その話を待ってたぜオーナー!報酬は弾んでくれんだよなぁ?」
「勿論だよ!当面遊んで暮らせる待遇は約束しよう!」
「よっしゃあ!元親衛隊のパク様の実力、存分に見せてやるよ!!」
そう言ってパクは早速店を出で公女を捕らえに出かけた。しかし、彼らは一つ大きな誤算をしていた。陰でひっそり彼らの話を聞いている緑髪の女戦士と剣士の姿に気づかなかったのだ。話の一部始終を聞いていた女戦士は、
(…ゲス野郎共が)
そう心の中で毒づくと、
「バーニー、話は聞いたでしょ?あの悪党共を仕留めに行くわよ。私達の連携、奴らに見せてあげましょ」
大剣を持った青年に小声で話しかけた。
「あぁ、任せとけアニータ!正義の剣、ぶちかましてやるぜ!」
そう小声で返すとアニータとバーニーはグリフォンに乗って公女の元へと急いだ。
乾巧(仮面ライダー555より)
———ゲインズ王国城下町トゥルヌンドゥス———
この町でもキンバリー村でのタツヤ達の活躍は伝わっていた。
そして城下町有数のメイド酒場「ラブ」 ここでもタツヤ達の活躍の話題で持ちきりだった。
「へぇ~そんなことがあったんですか。彼、なかなかやるみたいですねぇ。異世界から来たんですって?」
帽子をかぶったチョイ悪なバーのマスターが禿げた客と気さくに話している。
「あぁ、キム・スンホンの旦那!キンバリー村に活況を取り戻しただけでなく、あのクソ野郎をも懲らしめちまったんだよ!なかなか痛快だったぜ~あの知らせを聞いたときにゃあよ!異世界の人間も捨てたもんじゃねーな!これであの村も大分まともになるだろうぜ?ハハハハハ!」
「ハハハハ! それは何よりですね!ところで…クソ野郎って誰のことなんですか?」
バーのマスターは相槌を打ちながらもクソ野郎が誰なのか少し疑問に思ったので客に聞いた。
「最近あの村に越してきたヴァーチェ・ドラゴネルの事さ。村の人々だけじゃねぇ、俺たち町民にも散々横暴を働きやがったからなぁあの野郎。俺も通りすがりにぶん殴られて腕の骨を折っちまったんだよ。そんなことより旦那、今この城下町にフルーレ公国の公女様がいらっしゃるっつう話は聞いたかい?」
「えぇ、お聞きしてますよ。何でも外遊がお好きな方なのだとか」
フルーレ公国の公女は人格はともかく、外遊が好きで学があまりないと評判が良くなかった。そのためかゲインズ王国の一部の人間にもその悪評は伝わっている。
「自国がラドンに占領されたってのに相変わらず外遊だなんて呑気な事しなさるぜ」
「ハハハ、精神のお強い方じゃないですか。あのような事態でも平常心を保っておられる」
マスターは内心、公女を馬鹿にしながらも表向きは言い繕った。
「まぁ良い見方するとそうなのかもしれねぇけどな。ごっそさん、ふぅ~食った食った! ここの冷麺、最高にうめぇよな。メイドさん、勘定お願い!」
「確かに承りました~。いつもご利用ありがとうございますご主人様!またお越しくださいね~♪」
「いつもご来店ありがとうございます!」
勘定を済ませると客は上機嫌で店を出た。そして客が居なくなった途端、マスターは真剣な表情になり、
「さっきの話は聞いたな? フェネック、ネレア。ウチの常連客だったヴァーチェがタツヤという男にやられたそうだ。恐らくはヴァーチェはタツヤのところにいるだろう」
フェネックとネレアにヴァーチェに話し出した。ヴァーチェはここの常連客だったようで、ともすると助けに行くのかと思いきやフェネックとネレアは…
「えぇ、お聞きしておりましたわキム様。ヴァーチェにこの店の事について喋られると面倒なことになりますね」
「そうなる前に奴を殺してしまいましょう!」
有ろうことか、ヴァーチェを殺す計画を立て始めたのだった。表向きこそ善良だがこの場で本性を見せ始めたのだ。さらにネレアは、
「ついでに今後商売敵になりうるタツヤ達もこの際、殺してしまうのが得策だと思います!今後邪魔されては、こちらの商売も上がったりになってしまいますからね!」
と続けた。邪魔をするものは皆殺し、それが彼らのモットーだったのだ。
「あぁ、その通りだ。奴らを始末しにキンバリー村に向かうぞ!早急に支度するよう他のメイド達にも伝えろ!」
「かしこまりました!」
「早急に準備します!」
そこへマスターより一回り大柄ないかにもガラの悪い男が現れて、
「その話、聞いてたぜ。大事なこと忘れてるんじゃねえか?オーナーさんよ」
と話を切り出した。
「パク様、いらっしゃったのですか!?」
「おう、少し前に戻ってきたのよ。この町にフルーレ公国の公女が来てるって話してなかったか?」
「確か来ていたのだったな。間抜けな小娘だ。そうだ!あの小娘も捕らえて洗脳してメイドにすれば儲かるかもしれん!外見だけは可愛いからな!パクさん、早速小娘の捕獲に向かってくれ!!」
「その話を待ってたぜオーナー!報酬は弾んでくれんだよなぁ?」
「勿論だよ!当面遊んで暮らせる待遇は約束しよう!」
「よっしゃあ!元親衛隊のパク様の実力、存分に見せてやるよ!!」
そう言ってパクは早速店を出で公女を捕らえに出かけた。しかし、彼らは一つ大きな誤算をしていた。陰でひっそり彼らの話を聞いている緑髪の女戦士と剣士の姿に気づかなかったのだ。話の一部始終を聞いていた女戦士は、
(…ゲス野郎共が)
そう心の中で毒づくと、
「バーニー、話は聞いたでしょ?あの悪党共を仕留めに行くわよ。私達の連携、奴らに見せてあげましょ」
大剣を持った青年に小声で話しかけた。
「あぁ、任せとけアニータ!正義の剣、ぶちかましてやるぜ!」
そう小声で返すとアニータとバーニーはグリフォンに乗って公女の元へと急いだ。