クレプトマニア
文字数 2,197文字
とはいえ、彼女が相談者というわけではない。
アリシアの正面に座っているのは、同級生の男子だった。
様子のおかしな客がいるな、と思った店員が後をつけて、店を出ようとしたところを呼び止めた。
学校の帰りのことで、通学カバンの中をチェックすると、そこから店の商品が見つかったのだと朝倉は説明をした。
呪われ人は基本的にはお金には困らないので、わざわざ盗まなくても簡単に手に入れることができる。
クレプトマニアも衝動的なものと言われていますし。
もしくは、シンジさんに何か特別なストレスがかかるような出来事があったのかもしれません。
商品が盗まれたとしても、それで問題になるわけでもない。この街に運ばれた品物の数々がどうなろうと、外の人間は知ったことではないからだ。
一度こちらに運び込まれたものは、一切返還されることはない。こちらで消費されなかったものは、すべてこちらで処分をすることになる。
ここは呪われた土地。そんなところに一度でも置かれた商品を引き取るところなど、どこにもありはしないのだ。
問題はシンジさんがなぜそのような行為に走ったのかということです。
この点を明らかにすることは、絶望青春クラブを設立した意義にそうものであると思います。