図書館にて
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そういうわけで三人は梨香の家を後にし、再び中央へと戻って街唯一の図書館へと入った。
それまでの調査で時間を費やしたので、すでに閉館時刻は迫っていた。
内部には人気はなく、受付の司書がポツンとひとりで立っていた。
初めて会う外国人にも、司書は落ち着いた対応を見せた。
すでにアリシアの存在は街中に知られているし、呪われ人は外国人に対するアレルギーもない。
司書はそう言って、手元にある台帳を調べ始める。
本を貸し出す場合には、そこに名前と本のタイトルを記すことになっている。
この街では免許証などは発行されないため、電子的な記録は残されてはいない。
司書はカウンターを出ると、近くの棚へと歩いていった。
そこはヨーロッパなどの歴史を扱うコーナーだった。
遥人の問いかけにも、アリシアは答えない。
じっと本棚を見つめている。
そう言って、アリシアは一人、図書館を後にする。