第6話 エンゼルアーツ殲滅戦②

文字数 2,091文字

 ゴビ砂漠のエンゼルアーツの基地、本拠地は円形の地上部分と地下深く構築された部分からなっている。その上空は、幾層ものバリアーにより守られている。まるで、どこかの地球の小説、漫画の中の典型的な、未来都市、基地のようだった。
「実際、それがもとになっているんだよな。」
 セワシ博士が呟きながら見つめる画像には、セイント・フェアリーと国際連合軍による、エンゼルアーツの本拠地への総攻撃が展開されていた。バリアーは、火花を散らしているに見えているが、まだ飽和状態にはなっていない。地中からの攻撃にも、地層バリアーといえるものなど幾重にも防御手段が講じられている。空陸地下での攻防戦が展開されている。エンゼルアーツの本拠地からのビーム砲が、各種戦闘機、戦闘艦が、四つ足型戦車、装甲歩兵がセイント・フェアリーのモビルスーツ、戦闘艦、国際連合軍の戦闘機、機甲軍団、各国基地から発射される弾道弾などと攻防を演じていた。探知無効化とそれを探知可能にする、それそのものを無効化する手段が相互に展開されている。互いに相手が見えていながら、一部が見えていない状態での乱戦が続いていた。一進一退ながら、じりじりと連合軍側は損害の山を築きながら進み、エンゼルアーツはじりじり後退し、本拠地内の施設に損害を受け、多くの損害を出しながらもしぶとく抵抗を続け、攻撃側に損害を与え続けていた。消耗戦の様相を見せていた。
 バリアー内に突入できたモビルスーツ1体が、内部のビーム砲何門かと、待機する戦闘機数機を破壊し、施設の一つに損傷させたが、ミサイルとビームの集中攻撃で破壊された。
「マイカー!」
 国連軍の米国戦闘機とセイント・フェラリーのモビルスーツの中から叫び声が上がった。
 まるでそれを待っていたかのように、戦況を一変させるものが出現した。成層圏に巨大な飛行物体が迫ってきた。その中から戦闘攻撃機、制空戦闘機が飛び出した。マイティ・フィッシュと同形艦2隻だった。巨体にかかわらず、即新たな脅威に対応したエンゼルアーツ側からのビーム攻撃を、軽快な回避行動とりながら、各種ミサイル、魚雷が放たれた。周囲から攻撃してくるエンジェルアーツの戦闘機は制空戦闘機40型G3に撃墜され、それを突破したものも各種近接防御兵器の餌食になった。制空戦闘機に援護された戦闘攻撃機43型Aが、ミサイルを放つ。
「フィシュにビーム、直撃!」
「マクロに三発目が命中。」
「シャケ、ミサイル発射口2門破損。」
 AIの声が旗艦マイティ・フィッシュの指令室の中で、響き渡っていた。
「しかし、戦闘力90%以上維持。エンゼルアーツ本拠地バリアは、飽和状態に入っています。天祐あるべし、突撃せん!」
 ちなみにこれも、マイティ・フィニッシュのAIの言葉である。
 それに、旗艦司令部の誰もが頷いていた、悲壮な顔で。三隻は、バリアを突破して、その内部に突入した。それに制空戦闘機、戦闘攻撃機が続く。光の炎のようにバリアの表面に立ち昇った中にマイティ・フィッシュ以下は消えていった。完全に戦況は、エンゼルアーツ側の防戦一方、もはや最後の喘ぎのような状態になりかけていた。
 モビルスーツの中から、
「くっそー!」
「今やってしまっていいですか!」
等の叫びがセイント・フェアリーの戦闘指揮空母の指令室が響いた。
「みんなー、堪えてー!い、今はエンゼルアーツ殲滅に専念してー!」
 マイティ・フィッシュらから発信した空挺団揚陸艇が着陸、空挺団が戦闘装輪車などとともに飛び出して、基地内に突入していった。マイティフィッシュ以下3艦が要塞のように、援護砲撃、ミサイル攻撃で彼らを援護、戦闘機が上空から援護する。その横を、彼らが作った橋頭保、突入口に、何とかバリア突破できたセイント・フェアリーのモビルスーツが、四つ足型戦車が突入していった。
「後で待っていなさい、首を洗って。」
 そんなオーラが立ち昇っていた。遅れて、国連軍の突入隊が続いた。
「撤収を急げ!」
 翌日には、自衛隊空挺団の将校達が叫んでいた。戦いの趨勢がはっきりとわかったからだ。速やかに、撤収する必要があった、マイティフィッシュ以下三隻は。
「卑怯者!」
「逃げるのか!」
の怨念が膨れ上がっているのを、AIですら感知できるほどだった、それは自分達が攻撃を加えるのを待つことなく撤収することに対してのものだ、もちろん。
「損傷個所多数。戦闘力70%程度、戦闘する余力の限界。速やかに撤収。」
 勝利を目の前に、国連軍、セイント・フェアリーが、心身の疲れや恐怖さえ忘れる中、3隻は空挺団、戦闘機を回収して再び発進した。
「追うことのできるモビルスーツはいないか?」
「私が・・・。」
「あなたは、自分自身もモビルスーツも損傷個所多数で不可能よ。」
 モビルスーツの追撃はなかったが、セイント・フェアリーの後方戦闘支援艦や国連軍の一部が反転して追撃をかけてきたが、返り討ちにしながら3隻は突破した。
「キムー!」
 国連軍の戦闘機の一機が空中で炎上、爆発して砕け散った時、モビルスーツの一体の中で叫び声が上がっていた。
「ゆ、許さないわー!決して!」
 
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