2022年3月

文字数 3,145文字

「355」
某アメコミ映画シリーズに出演してるあの俳優、どうせ屑男の役だろ、と思ったら、やっぱり屑男でした。
まぁ、そこそこは楽しめた。

「白い牛のバラッド」
イラン映画だが、イランでは上映禁止らしい。
死刑になった夫が後の冤罪だと発覚した、難聴者の幼い娘と2人暮しの女性。
そこに「夫の古い友人」を名乗る人物が現われ、様々な援助をするが……。
「夫の古い友人」の正体がいつかはバレるであろう事は判っているので……主人公が平穏な日常を取り戻せば取り戻す程、観てる方は嫌な予感が増していき……。
「夫の古い友人」の正体を主人公が知った時にカーステレオから流れるラブソング……それが本来の意味とは正反対になり……。
そして、劇中、主人公が口紅をするシーンが2回有るが、その2回が、「口紅をする意味」が正反対。
色々と見事。

「マヤの秘密」
第2次大戦の記憶もまだ薄れていない時代のアメリカ。
アメリカ人の医師と結婚しヨーロッパからアメリカに移住した女性マヤは、たまたま公園で聞いた口笛で、ある忌しい記憶が蘇える。
そして、その口笛の主が、その忌しい記憶の原因となったSSの兵士かを確かめる為、ある、とんでもない行動に出るが……。
粗筋からオチは割れてるので、そのオチにまで持ってくハラハラ展開こそが見所。
その点では、かなり巧い。

「声もなく」
のっけから、ギャグ調で始まるのが、拷問・殺人・死体遺棄。
いや、この手の韓国映画を見慣れてる人からすると、主人公とその相棒の着替えを見ただけで「ああ、血生臭い事が起きるな」と云う予感がビンビン。
韓国ノワール映画の定番「超イケメン俳優がイケてない男を演じる」「何故かとんでもない所でギャグがブッ込まれる」が好きな人にはオススメ。
犯罪組織内のリンチ、金目的の児童誘拐、(明言はされてないが)移植用臓器の密売を……そこら辺にも居そうな兄ちゃん・おっちゃんがやってるのを延々とギャグを交えながら描かれるが……最後はかなり苦いオチ。

「パイプライン」
良い意味で「面白いけど、今年一番候補にはなりそうにない映画」。
韓国各地に張り巡らされた石油パイプランから石油を盗むと云う犯罪のプロ達。
たまたま2つの異る石油会社のパイプラインが並行して走っている馬鹿から大量の石油を盗もうと云う計画が持ち上がるが、どうやら、その計画のスポンサーは何か訳有りらしく……そして、集められた犯罪者達もまた……。

「ハード・ヒット 発信制限」
車に爆弾を仕掛けられ「運転席を立ったら爆発する。金を振り込めば(※とんでもない金額)爆弾を解除してやる」と云う無理ゲーな要求をされた銀行の支店長。
何ぼ何でも嘘だろうと思っていたら、目の前で副支店長の車が爆破。
しかも、その日、車でたまたま子供を学校に送っており……。
いや、しかし、韓国映画での「金持ち・大企業は悪モン」率は異様に高いな……。

「アンチャーテッド」
個人的には「ビミョ〜」「イマイチ」。
あ「『大怪獣のあとしまつ』の感想が『言われてたほど酷くなかった』」人間の「ビミョ〜」「イマイチ」と云う感想だと思って下さい。
主人公は、やっぱり何をやってもトムホ版ピーター・パーカーにしか思えない。
もちろん、画は凄いんだけど……何か足りない。

「The Batman」
コミックや過去の映像化作品を知っていると小気味良く裏切られる序盤の展開。
しかし、やがて明らかになるのは、主人公ブルース・ウェインも、また、20年前の同じハロウィンの日に両親を失なったと云う事。
過去と今、正義と悪が、まるで鏡写しのように似ており、リドラーとバットマンが実は同一人物なんてオチでも驚かんぞ的なダークな展開になっていき……。
だが、「バットマン」映像化史上で最“狂”クラスのバットマンの物語は、良い意味で余りにも真っ当なメッセージで幕を閉じる。
ただし、バットマンが最後にやった選択は、ヒーローものとしてなら真っ当だが、バットマンの新しいシリーズの第一作としては、かなりリスクが高い代物。
ただ「何回も観たい」感は「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」には劣る。

「さがす」
ズシンと来る作品。
劇中の最初の方の、それこそ大して重要な役じゃないキャラが言った「あんた、誰探しとるんや??」と云う台詞が後で効いてくる。
ただ、重要キャラがステレオタイプに描かれている点がマイナス。
今時、あんなサイコパス描写や「わがままな女」描写やるのは……何と言うか、町の定食屋さんの料理ならOKな事でも、本格的な和食や中華の店でやられたた興醒めみたいな手抜きやミスみたいなモノで……。

「ガンパウダー・ミルクシェイク」
良い意味で「面白いけど、今年一番候補にはなりそうにない映画」。
良くも悪くも「今日は名作を観たい気分じゃない」「今日は人生を変えてしまうような映画を観たい気分じゃない」日にオススメ。
ただ、監督のオタク気質が悪く出て「凄いアクションだけど『この手が有ったか』的な驚きは少ない」気はする。

「ウエスト・サイド・ストーリー」
えっと……このオチで主演俳優が性犯罪疑惑ってマズくないか?
それはともかく、トニーと「愛と誠」の岩清水的なキャラになったチノのあのギャグシーン……ほんの一瞬だけ1人の女性を巡る恋のライバル同士の心が通い合ったように思えた結果がアレなので……何とも切ない。

「ナイトメア・アリー」
自分にとっての「面白い映画」は2種類有って「あっさり目」と「こってり目」。
前者は「今年観た映画No.1候補にはならないが気軽に楽しめる。しかし、ずっと記憶に残ったり、何度も観たり、何かを語ったりしたくなる訳じゃない」。
後者は「今年観た映画No.1候補。ずっと記憶に残り、何度も観たくなり、何かを語ったりしたくなる。ただし、初見は『こってり味』を全部食っても大丈夫な体調の時」。
で、この作品は後者なんだけど……観に行ける時間がとれなくて、心の準備が十分じゃない状態で観に行って……「あ、しまった」。
もちろん、オチは途中で予想が付くけど、それが状況に流されたり誰かの罠にハマった結果じゃなくて、主人公の選択(まぁ、あの時のホニャララにフニャフニャが入ってた可能性も有るけど)なのが何とも……。
ケイト・ブランシェットの演じるキャラの名前が、何とも禍々しいモノだが、実は欧米のフェミニズム系のフィクションでは「男の支配を拒絶する女」の象徴としても使われる名前らしいので、まぁ、最後は、ああなるなとしか……。
しかし「俺が、あの主人公の立場だったら、どこで引き返すか?」は、難しい問題かも。
皆さんも、万が一、「濡れ手で粟の大儲け」の機会が有ったら、用心しましょう。
あと、貴方が他人を操るスキルを持っていても、貴方が操った誰かは操った通りに行動してくれるけど、貴方が思った通りに行動してくれるとは限らない。
そして、貴方が他人の心を読むスキルを持っていても、貴方が他人の心を理解出来る人間かは別問題。

「アンビュランス」
マイケル・ベイも、こんな「いい意味でモヤモヤする」映画を撮れるのか〜……と思ったら、北欧の映画のリメイクだったらしい。
カーアクションは派手だけど……トランスフォーマー・シリーズもそうだけど、マイケル・ベイって「金を稼いでる事に関しては世界有数のアクション映画監督」なのに、アクション・シーンはそんなに巧いか? と言われると……まぁ、イマイチとしか。
主人公達を追ってる警察車両は、自分のミスでクラッシュしてるようにしか思えない。
カーアクションを楽しみたけりゃ、韓国映画の方がオススメです。
ただ、観る場合は大スクリーンの方がオススメですが……多分、この感想をUPしてる頃には、IMAXはアメコミ2大コウモリ男映画に占領されてると思うので……。
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