2021年9月

文字数 2,831文字

「スペース・プレイヤーズ」
同じくバスケ選手とギャグ・アニメのキャラが共演した1996年の「スペース・ジャム」(日本では知名度がイマイチだがアメリカでは鉄板作品)の続篇と云うかリブート。
映画会社のサーバの中の居る腹黒いAIが一流バスケットボール選手を映画に出演させようと目論み……って話を本当に一流バスケットボール選手のレブロン・ジェームズ主演で作ったと云うメタな映画。
監督は「フルートベール駅で」「クリード」「ブラックパンサー」のライアン・クーグラー。ええ、「伝説のバスケ選手マイケル・ジョーダンだと思ったら……俳優のマイケル・B・ジョーダンでした」と云う馬鹿ネタも有ります。まあ、俳優のマイケル・B・ジョーダンに「あいつに比べたら、お前なんかマイケル・“B級”・ジョーダンだ」なんてのは、バスケ選手のマイケル・ジョーダンぐらいだろうな。
予告ではワーナー映画のキャラ総出演と見せ掛けてますが……実はルーニー・テューンズ映画。アイアン・ジャイアントもキング・コングもDCコミックの悪役もペニーワイズも、バスケの試合の客です、はい。まぁ、この映画の悪役を応援してるのが、ワーナー映画の歴代悪役達、と云うのは非常に判り易い。
とは言え、ルーニー・テューンズもバスケのルールも知らなくても十分に楽しめます。

「白頭山大噴火」
北朝鮮とアメリカの間で北朝鮮非核化の歴史的な合意がなされた直後、北朝鮮と中国の国境に有る火山・白頭山がこれまた歴史的な大噴火を起こした。
そして、ソウルでは、除隊直前の爆発物処理班の軍人チョ・インチャンが、臨月の妻の元に向かう為に車を運転していると……ジュラシック・パークでティラノサウルスが近付いて来る時のアレと言うか、この映画にも出てるマ・ドンソクが別の映画で大暴れしてる時のアレが起きて……。(※この映画ではマブリーは暴れません)
早い話が、朝鮮半島全土でこれまた×2歴史的かつ「日本沈没」の歴代映像化版を合わせたよりも遥かに金がかかってそうな大震災が発生したのだ。
しかし、この爆発は、4つのマグマ溜りの1つが爆発したモノに過ぎず……最大のマグマ溜りである4つ目が爆発すれば朝鮮半島全土が今度こそ壊滅するのは確実だった。
そこで韓国政府が出した対策は……無政府状態と化した北朝鮮に特殊部隊を侵入させ、間もなくアメリカに引き渡される予定の北朝鮮の核爆弾を強奪、白頭山近辺の廃鉱内で核爆弾を爆発させ、マグマの逃げ道を作り……。
ええ、ツッコミ所は有ると思いますが、発案者からして「私が大統領だったら、絶対にこんな作戦、許可しません」だし、北朝鮮の核爆弾の場所を知ってるヤツに作戦内容を説明すると……。
「そんなのが巧く行くと思ってるのか? お前らは『科学忍者隊ガッチャマン』のつもりか? で、そこのトロそうなヤツはミミズクの竜か?
……実は、ここまで言われるのには、もう1つ理由が有り……北朝鮮に潜入させようとしていた特殊部隊が高濃度の火山灰のせいで輸送機ごと全滅、補助要員だった技術班だけで、全任務を行なう羽目になったのである……。
もちろん、「韓国が北朝鮮から核爆弾を奪って北朝鮮と中国の国境付近で爆発させる」と云う……端的に言って頭がおかしい真似を中国とアメリカが容認する筈もなく……しかし、八方塞がりの中、あるとんでもない手段で……。
・今回のマ・ドンソクの強さ/頑丈さ:戦いません

「シャン・チー テンリングスの伝説」
アメコミ好きは知ってるが一般にはマイナーなヒーローの映画化→大ヒット、アメコミ好きでも良く知らないヒーローチームを映画に→大ヒット、アフリカ系ヒーローで登場人物の大半がアフリカ系の映画化→大ヒット、女性ヒーローの映画化→大ヒットと「映画で大儲けをしたけりゃ、手堅く儲かりそうな企画などクソくらえ」って事を証明し続けてきたMCUの新作は「アジア系主演で、登場人物の大半がアジア系のヒーロー映画をアメリカの資本で作る」。どう考えても、ポリコレ準拠の作品の方が斬新でしかも金になると云うのが、今の時代のミもフタもない現実じゃなかろ〜か??
いや、良い意味で裏切られた。
予告からは想像も付かない展開。
たしかに、MCUフェーズ3までの「インフィニティ・サーガ」に対してフェーズ4以降は「マルチバース・サーガ」になると噂されてるが、確かにMCUフェーズ4の最初の作品に相応わしい作品。

「ベイビーわるきゅーれ」
表向きは堅気に見せ掛けているらしい(税理士まで居る)殺し屋企業に雇われている少女殺し屋2人組。
彼女達は高校卒業と共に会社の寮を出て(福利厚生に配慮した犯罪組織も有ったもんだ)、会社が借りたアパートで共同生活を始め、殺し屋以外のアルバイトもやる事になったのだが……しかし、片方は、調子はいいが、時々、殺し屋の本性を出し(それもバイト先で)、もう1人は完全なコミュ障。
しかも、片方がヤクザの親分の娘に目を付けられ……。
まぁ、今でないと笑えないギャグ(少し前に流行ったポップソングねた)も有るので、早めに観ておいた方が良いかも。
あと、心にグサグサ突き刺さる「若い女性に蔭で嘲笑されてる中高年男性オタクあるある」。まぁ、冷静に考えたら中高年オタクが好きなマンガ・アニメのセリフって中二病的なのばっかりなので、中学生センスがダサく思える年齢の人には……まぁ、その、何だ。
とりあえず、この映画のキャラで一番同情せざるを得ないのは「サイコな父親とサイコな妹を持つヤクザの息子」。
「萌え」の文脈がまるで判ってないのに父親と一緒に秋葉原のメイド喫茶に行く羽目になるだけでも「何だ、そのタチの悪い罰ゲーム」なのに、更に……。
あと、のっけから、ホンマにチート級のヤツも「ざまあ」をやりたい、って描写は斬新だった。

「シュシュシュの娘」
入江悠監督の作品は出来が良いのと悪いのの差がデカいが……これは何とも困った映画。
監督が好きに作ってるのが判る楽しい作品ではあると同時に……「一体全体、これは、どう云うリアリティ・ラインの話なんだ?」と云う困った作品。
あと、俺も小説投稿サイトに他人(ひと)の事を兎や角言えないよ〜な小説を投稿してますが……監督、何、自分の故郷をとんでもないディストピアに仕立て上げてんですか??

「レミニセンス」
面白いかと言われれば個人的には面白いが、結構な映画好きの人じゃないとオススメ困難。
記憶を映像化すると云う技術が実用化された未来と云う設定だが、深く考えなくても、その技術のある機能とある機能は、余程、変な理屈を考えないと同時に実現するのは困難(この映画の中の「人間の記憶」ってどう云う仕組みって設定なんだ??的な)。
だが、映画内で実際に起きてる事に見えてたシーンが実は再生された主人公の記憶だった、と云うのが何回か有り、その度に不穏さを感じる事になる。
あと、この映画の作り手は「これから、世界は、どんどん悪くなっていく」って考えてるんだろうなあ……。
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