2020年11月&12月

文字数 2,611文字

「ストレイ・ドッグ」
……騙された。
「犯人なら知ってる(が言えない)」って、そう云う意味だったのか。
確かに、極めて映画的なトリック。

「ザ・ハント」
陰謀論者にとっての夢にして悪夢。
良いお報せです。
貴方達が信じていた事は事実でした。
「奴ら」は本当に裏で許し難い悪事を企んでいました。
続いて悪いお報せです。
「奴ら」が悪事を企んだのは、単なる「予言の自己実現」でした。
貴方達が阿呆な陰謀を信じなければ、こんな事態は起きませんでした。
最後に最悪のお報せです。
貴方達は殺されます。
まぁ、しかし、何故か思い出したのは、本放送時に事前情報を何も知らずに「仮面ライダー555」の第1回を見た人の感想。
「主人公、こいつじゃね??」と思ったヤツが次々と死んでいく。
で、誰が主人公で、何故、そいつが「主人公」なのかと言えば……。
とひいないけんかたれわがちまとつやのいめうどいせうどはうこんじゅし(ネタバレにつき逆さに書いてます)←ただ、これのせいでホラー感は薄れたかも
あと、話の内容が内容なので、この映画を観て以降は「主要登場人物の9割ぐらいが白人」のアメリカ映画を観ると「何かエラい事が起きるのかも」とか思ってしまいそう。
ついでに、この映画でdisられてるのは、アメリカの保守かリベラルかについての個人的解釈。(ネタバレにつき逆さに書いてます)
るこのきいがつやなるらべりもとっもみいるあたしつぜょきをとこるあで"かのもにな"

「羅小黒戦記〜ぼくが選ぶ未来〜」
期待値上げ過ぎて観に行ったかも。
「観に行く価値は有るか?」と聞かれたら「Yes」だけど、今年1位候補かと言われると……う〜む。(※日本のアニメと比べて、と云う意味じゃないです。私の場合、それほどの見巧者じゃない≒最新のアニメで何が出来て何が出来ないかイマイチ判ってないので、日本のアニメで評判のいいヤツを観ても「あの評判なら、もっと凄い映像を観れると思った」って感想になる可能性は有ります)
ただ、中国のアニメは、今、ここまでのレベルに来てる事は確認しておくべきかも。
ひょっとしたら、5年後10年後には中国で作られたアニメ映画を「自分的には今年観た映画1位」にする可能性は十分に有りそう。

「マンク」
映画通を気取るなら古典作は一通り押さえておくべきだと云う事を思い知った映画。
うん、「市民ケーン」をちゃんと観てたら、もっと楽しめたであろう事だけは理解出来ました。

「スパイの妻」
ホラー出身の監督が夫婦愛がテーマの作品を撮るとこうなる。
高橋一生の皮を被った「クリーピー 偽りの隣人」の西島秀俊(自分がブッ壊れてると気付いてない、頭がよくて論理的だけど、常人のフリしてる完全にブッ壊れてる人)と、蒼井優の皮を被った「クリーピー 偽りの隣人」の西島秀俊(以下同文)の物語。
あの主人公夫婦の家庭の様子からして「クリーピー 偽りの隣人」の西島秀俊が演じた主人公(香川照之演じる狂人に勝てたのは、こいつも狂人だったから)の家の感じに通じるモノが有る。作りものめいた「幸せなでハイソな家庭」の禍々しさたるや……。
夫は正義に狂い、妻は愛に狂っているように見せ掛けて、その「愛」と「正義」は、自分が狂人と気付いていない狂人が、理性(あたま)だけで考えた紛物の「愛」や「正義」。心の中に本当の「愛」や「正義」を欠いている者が、その代用品として作り出した「愛」や「正義」の如く機能してるだけの別の「何か」にしか思えない異形なる代物。
劇中に出て来たアレは731部隊だろうけど、石井四郎すら狂人としては小物に思える最恐夫婦。
夫と共に嬉々として国外脱出の計画を練る姿は、演じてるのが蒼井優だから微笑ましく見えるだけで、黒沢清が撮ったと云う事を念頭に観ると完全にホラー。
いや、だって、あの人、自分の(夫の)甥っ子をあんな目に遭わせた後に、あんなに目をキラキラさせて子供みたいにはしゃいでんだよ……。

「ミセス・ノイジィ」
多分、「こりゃ駄目だ」と思う作品には2種類有る。
1つは「どこをどう変えれば良くなるか、さっぱり見当が付かないほど酷い」作品。
もう1つは「俺だったら、ここをこうする、と云うのが判るが故に、アチャ〜」な作品。
これについては後者。
箸にも棒にもかからない作品でもないが、俺にとっては絶対に肯定出来ない。
そこそこの出来ではあったが故に、逆に「こうすれば、もっと面白くなったのでは??」と言う所が目に付く。
材料も平均以上。レシピも平均以上。作り手の腕も平均以上。全体の出来も平均以上。……であるが故に、逆に「あ、ここは手を抜いてるか、わざとやってるなら絶対に作ったヤツはアレ」が見えてしまう。
とりあえず、主人公の家族、ロクな男が居ない。弟は最低野郎だし、亭主もかなりのクソ野郎。
なのに、最後が「家族の絆」はねぇだろ。
あんな亭主には三行半を叩き付けろ。
「仕事で2〜3日泊まるから」のシーンでは、マジで「何で、横からダンプが猛スピードで突撃して、あのクソ亭主をミンチに変えない??」と思いました。
どう考えても主人公がスランプに陥ってたの、あのクソ亭主のせいだろ。

「燃ゆる女の肖像」
凄い映画なのは確かだけど……ちゃんと評しようとすると、何回か観る必要が有りそう。
ただし、名作過ぎるので、脳の情報処理能力に余力が無い時に観るのは逆にオススメ出来ない。
観るなら体調を整えた上で観に行くべき名作。
多分、体調が良い時でも、このレベルの作品を日に3つ以上観ると確実に気が狂う。
ひょっとしたら、フェミニズム関係の本や、西欧美術史なんかの本を予習として読んだ上で観に行くべき作品かも。

「THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女」
ある意味で、中国本土と香港の「距離」はEUに属してる別の国の「距離」よりも遠い訳か……。
だからこそ、「家は深圳、学校は香港」と云う主人公のような「香港と中国本土を日常的に行き来している例外的な人々」が「密輸の運び屋」として重宝される事になる、と。
しかし、密輸組織のボスの怖さがこれから発揮される……と思った途端に警察が突入なので、結局、一番恐い怪物は公権力かよ?? と云うオチに……。
まぁ、中国みたいに「犯罪者が勝つ映画はいけません」なんて規制が有ると、逆に「最強最悪の怪獣は公権力」にしか思えない画が出来てしまう確率がハネ上がってしまうのかも知れない。
あと、まさか、あんな事をSEXの暗喩に使うとは思わんかった。
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