第7話:クラス会と智子の子に援助

文字数 1,729文字

 左翼系の富山君と右翼系の滝山君の議論も面白かった。今でも覚えているのは出世して金持ちになって税金が多い米国、欧州より納税額が増えれば割引率を大きくすべきという考えの滝山君。富山君は、税率が同じで、所得の少ない層へ手厚くすべきという考えで、道徳の時間、激論を交わしたのが思い出されると語った。

 先生と言えば、どっちにもつけず、ただ呆然と論前を聞いているだけだったと話した。面白い、今どう思っているのか、ご両人に聞いて見ようと白井桂子が言った。そうね、面白そうねと賛成する人が多かった。すると最初に米国生活が長い滝山君にどうでですか聞いた。滝山が、米国へ行って、実は少し考えが変わったと告げた。

 米国ウオール街を見てると一般庶民との格差ありすぎで納税額が増えると割引条件が多く金持ちに有利だ。収入の少ない連中は、アメリカは、日本の様に国民皆保険でないから医者にも満足にかかれず、亡くなる人も多い。それを見ているともう少し平等に、収入の少ない人へのセーフティネットが必要だと感じると答えた。

 続いて、同じ質問ですが、富山君はどうですかと聞いた。学校を出て、一時、企業の労働組合の仕事をし、私も少し考えが変わったと告げた。日本では、セーフティネットを悪用し、ずる休みし病欠にしたりする人、交通事故を労災に装う人もいた。また、アルバイトしているのに無収入と偽り生活保護をもらう人達を見ると切ない気持ちになると打ち明けた。

 日本はセーフティーネットが完備され生活保護、国民皆保険がある。それを使いすぎて日本の税金が他国に比べて高くなっている。これ以上、福祉、医療に金がかかると、とてもじゃないが、若い人の負担金が大きくなりすぎて働く気が、なくなるかもしれないと、思っているほどだと述べた。それを聞いていた滝山君が、富山君に、やっと気づいたなと伝えた。

 お互いに世間知らずで正義漢だけ強かっただけだと言い、結局、同じ様な意見になったのだ。 そして和やかな雰囲気で、また来年も元気で会いたいねと言い21時になり、お開きとなった。みんな元気でねと、言って別れ、帰って行った。やがて2013年を迎えた。正月があけた1月10日、久しぶりに智子の長男の谷川久夫から智子さんに電話が入った。

 その時、智子が、昨年、中学時代の同級生の滝山恒夫さんと結婚したことを打ち明けた。すると、おめでとう幸せになって下さいと長男から言われた。次に、ところで、今日電話の要件は、お金の事だと告げた。うちの長男の一郎が、今年、大学受験なんだが経済的に厳しくて大学卒業まで教育費を払うことが出来るか不安だと言うのだ。

 それで、少し金を貸して欲しいと言うので、いくら必要なのと聞くと500万円と答えた。そんな大金、急に言われても困るわと言い、金の工面が出来るか調べて見ると言うと、是非お願いしますと言われ、何とかしてあげたいが、もう少し待ってと言い電話を切った。この話を滝山に相談すると、亡くなった旦那さんの保険金で、工面してあげたらと言った。


 でも、私のお金がなくなって、あなたに金銭的に迷惑かけたくないと困った顔をした。すると可愛い一人息子じゃないか、とりあえず出してやれよと告げた。僕は、君と結婚したんだから扶養の義務がある。だから孫にも扶養の義務があると考えてると話した。そして、近いうちに長男と3人の孫にあわせてくれと言い会って直接、お金を手渡したらよいと提案した。

 わかりました来週日曜日、長男の久夫の所へ行って直接手渡す事にした。この話を久夫に電話で知らせると喜んでくれ、新しいお父さんにも是非、会いたいと言ってくれた。翌週日曜、2013年1月18日、滝山の運転する車で長男の久夫の住む木更津市金田の県営住宅を訪ねた。滝山が智子の長男の谷川久夫に挨拶した。

 谷川久夫、奥さんの好美さん、長男一郎君、長女淑子さん次男の次郎君もそれぞれ挨拶した。その後、5百万円を智子さんが長男の谷川久夫に手渡した。これで一郎を大学に入学させられると喜んでくれた。一郎君が、千葉大工学部か早稲田工学部をめざし、淑子さんも上智大学をめざして勉強していると言い次男の次郎君も兄と同じ大学をめざしてると教えてくれた。
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