第9話:孫の学費援助要請

文字数 1,819文字

 そして木更津から横浜に帰って来た。2015年4月2日に谷川智子さんの長男、谷川久夫から相談したい事があるからと電話が入り滝山と一緒に出かけると、谷川久夫さんが体調崩して退社しなければならなくかも知れないので、お金を貸して欲しいと言った。

 谷川智子さんが、いくら欲しいのと言われ、できるだけ多い方がありがたいと言うと、急に声を荒げて、もう既に今迄2千万円以上、渡したのは分は使い果たしたのと聞くと5百万円位しかないと言った。5百万円あれば、夫婦2人で月食費3万円に抑えれば、やっていけると言った。

 公営住宅の家賃も合わせて年間60万円で9年は持つし奥さんの給料で何とかやってけるでしょと言った。すると奥さんも仕事してないしパチンコで稼ごうとしたが、しけていて儲からないと言った。これを聞いてパチンコに使ってる
のと怒鳴った。

 あきれかえって、あいた口が塞がらないと言った感じで息子をみていた。そして、私の全財産は、残り1千万円しかないのよと言うと、谷川久夫が旦那さんが持っているんでしょうと言った。谷川智子が、なんて情けない人なんだろう言ったきり天を仰いだ。

 話が煮詰まった所で、滝山が、冷静に谷川久夫に、もし、お母さんが全財産の1千万円を渡したとして、お金を貸してくれたとしよう。そしたら、お母さんはどうなるのかな、誰に頼れば良いのかなと聞いた。すると、そんなの知らないよと言った。

 それを聞き、滝山が、何て無責任な事を言うんだ。成人した男だろ、もっとしっかりしと、甘ったれてるんじゃないと大声で怒鳴った。今度、どうやって生活していくが、具体的なビジョンを出しなさい、それが出来ないなら金は、出さないと言いきった。

第一、今迄のお金も上げたのではなく、貸した、つまり返さなければいけないんだと言い、返済計画はきちんと出せと迫った。すると、谷川久夫が返せないと小さな声で言った。わかった、それでは、お金を貸す訳にはいかないと言った。

 すると、お前ら金持ちに、俺たち貧乏人の気持ちがわかるかと言い返した。そこで、わからない、貸してくれと、言って、おきながら返す気がないペテン師とはもう、金輪際、付き合う気持ちもないと、吐き捨てるように言った。

 すると、このやりとりを聞いていた智子さんが、すっかりしょんぼりし、私の全財産の1千万円を送りますとポツリと言った。そして、これで2人とも破産した事になるのよと目に涙を浮かべて言った。それを聞いた谷川久夫は、ありがとうと頭を下げた。2015年6月5日、円安ドル高となり、1米ドル125.8円となった。

それを確認すると、すぐさま、100万ドルを円に換えると1億2500万円となり、滝山が、大喜びし、資産が1億円を超えた。家に帰ったら、私の全財産1千万円を送ります。それで、私の全財産がなくなり、あなたの財産が1500万円になるといった。その時、この話を聞いていた隣の部屋で寝ていた谷川久夫の奥さんの好美さんが出て来て、それは駄目です。

 まだ500万円あるから質素に暮らしていきましょう。息子達が大学を出たら、また、何とかなりますから、もらっちゃ駄目と大粒の涙を流しながら言った。あなたが、パチンコで借りたお金を使ったんでしょ誤りなさいと、すごい剣幕で怒鳴った。すると谷川久夫が、わかっよと言い、滝山と智子さんが、谷川久夫の家を後にした。

 2016年、やがて春となり3月、梅が咲く頃に智子さんに谷川久夫から電話が入り、長男の一郎が早稲田大学理工学部を卒業してNTTドコモに入社したと連絡が入り一郎が夏と冬のボーナスの半分を智子さんに返すと話したと知らせて来た。この話を聞いて受話を持ちながら何も言えなくなり、ありがとうと涙声でいった。

 電話口に長男の一郎君が出て、おばあちゃんの援助で大学を卒業できたと聞くと、涙で話が出来なくなった。滝山に電話を代わり一郎君、偉いね、NTTドコモに合格するなんて素晴らしいと話した。すると、今後、一生懸命、働いて、この県営住宅を出て、一軒家を建てたいと、抱負と述べた。

 そうだ、頑張れば、きっと神様も味方してくれるはずだと滝山が語った。落ち着きを取り戻した智子さんに電話を代わると頑張ったね、暇な時、新横浜にも遊びに来なさいと告げた。そして、中華街で合格祝いの食事会でもしましょうとうれしそうに話をして電話を切った。その後、滝山と智子さんの連名で合格祝いのご祝儀を贈った。
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