Children of Bodom - Blooddrunk

文字数 858文字

 国内のレビューを見ると、決して評判のいいアルバムというわけではありませんけど、こう、寒くて暗くて鬱屈した気分の夕方、すっかり陽が沈んで周りの景色も失せたバスの車窓を眺めながら聴いていた、そういうアルバムです。実際、大して派手な盛り上がりの有るアルバムでもありませんから、そういう雰囲気です。

 こう、ヘドロみたいな気分の時に聞きたくなるのって、案外こういうどんよりとしたアルバムや曲だと思いますし、そもそもチルボドのアルバムを手にしたのが、腐った沼の水みたいに嫌な気分になって、うんざりしていた時でした。Hate crew deathrollはやり場の無い憤りに同化していましたが、やり場の無い鬱屈した感情を飲み込んでくれるのが、このアルバム……ひとつ前のAre you dead yet? も同じ様な路線ですが、テンポが特別速いわけでもなく、引き摺る様な重さを纏ったこのアルバムの方が、よりヘドロに近い様に思います。不思議な事に、憂鬱な時ほどデプレッシブ・ブラックメタルが聞きたいわけでもないんですよね……こういう、さして面白くないアルバムほど、そういう憂鬱に溶け込むといいますか。
 ただ、同じ様にどんよりとしていて、明るい気分にはなりえない部類のアルバムにHelloweenのThe Dark Rideがあるものの、そちらを聴こうと思った記憶はありません。おそらく、歌詞のメロディなど有って無い様な、喚き散らかす様なヴォーカルにこそ、ヘドロの様な感情は飲み込まれてくれるのでしょう。同じ様にあまり明るいイメージは持っていないHelloweenの7Sinnersを、そういうヘドロみたいな気分の時に聞きたいとは思っていませんでしたし……おかげで、最近になってやっと買おうと思った有様。でも、今の気分じゃ聴きたくないな……。

 寒くて暗くなって、鬱屈した気分が拭いきれない日没少し後、今くらいの時間は、大音量で思いっきりこのアルバムを聴いていたいし、寒くてどうしようもない時こそ、凍える様な曲を聴いていたい。
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