Children of Bodom - Hate crew deathroll

文字数 1,778文字

 ――この憎悪を持ち続けろ、私。

 この曲の歌詞を印刷して、クリアファイルの目隠しに入れていました。別に問題のある歌詞ではありませんよ……ブヂギレてるだけで! 特に私がっ!

 目指していた心理学の世界にある、臨床上の倫理における矛盾に悶々とし、受けた大学間違えたと思いながら過ごしていた中、二年生の後半には福祉の精神を説く授業を受けていました。正直、考えれば考えるほど泥沼で、生命の倫理とか人間の道徳とか、そういうのをひっくるめたら堂々巡りで結論の出ない地獄みたいな世界です。脳死が人の死か否かも決められないのが、今の人間なんですから。
 そうかといえば、日本をディスカウントするクソの様な講師に反吐が出たり、制度が無ければ何も出来ないと、ナイチンゲールやヒポクラテスがしてきた事はじゃあなんだと、これまた反吐が出る様な役人上がりのクソジジイが居たり、考えるだけ腹が立つ様な講義でした。
 そんな中思いました、こういうものに手放しで共感出来る、感動出来る人だけが、神様になれるんだろうと……考えすぎて闇に落ちた私は邪神になるしかありませんね。いえ、ブラックメタルも嫌いじゃないからサバト開いてもいいですけど。

 私は意地でもこの憎悪と嫌悪を抱え込んで生きてやる、無意識にそう思っていたのでしょうか、あるいは、メタラー辞める時は人生終わるときと同意義だったのでしょうか……もう何が何やらですが、とにかく私は苛立っていました、ずっと。
 その結果が、人目に触れてもいい場所に、この曲の歌詞を入れておく事でした。
 曲自体はチルボドらしいメロデスで、ものすごく大雑把に言って、歌詞の中身はどんな力にも屈しないという物。チルボドのアンセムと例える様な評価もありますが、世の中への苛立ちと混ざり合って、物凄く激しい印象でした。

 ……教育も福祉も充実した幸せな国、それがフィンランドだとよく言われてますけど、北海道どころではない極寒の地で、教育という抑圧、福祉の名の下に積み上がる重税が課せられた国がフィンランドをはじめとする北欧の国家です。国家が国民に還元する福祉は充実していても、社会性を養うとの名のもとに抑圧されていた若者の暴発が、ブラックメタルではないかと、何かで読んだ覚えがあり、そうだろうなと思いました。とりわけフィンランド以外じゃ教師の社会的地位が良くない国もあるので、教育がいびつで若者は更に壊れやすいでしょう。
 日本も全体の調和というものが重んじられていて、個性を潰す教育がまかり通っているわけですが……ヨーロッパは其処に宗教という名の道徳が注ぎ込まれているから、若者達の苛立ちは拗れてしまう……宗教が絡むから、ブラックメタル、つまるところヘヴィメタル業界におけるアンチクライスト文化が出来上がったのではないでしょうか。しかも、日本は宗教的にある種自由ですけど、ヨーロッパにはキリスト教しかない。ローマカトリックとかプロテスタントとかいろいろ宗派は有っても、絶対的に神はキリスト教しかない……そりゃ壊れるわ、と思います。

 そういう北欧を手本にしろとのたまったクソ講師が居ましたけど、日本って福祉の構造がいびつなだけで、国民皆保険とか何処の国にあるんだと思いましたし、イギリスじゃ保険適応になるのは最初に町医者に行って、そこから総合病院を紹介されるときだけだったはずです……でも、その町医者がヤブで何人死んでると思ってるんだか。
 そういう苛立ちをぶつける手段が、有ろう事かフィンランドのバンドの曲なんですから、お笑い草というか皮肉というか……。
 つーか、そんな幸せな国だっていうなら、こんな音楽生まれませんから! みんな寒過ぎて死ぬか切れるかの極致に追い込まれるし、社会が充実してりゃ若者がアンチクライストこじらせて教会燃やしたりしませんから!

 ……しばらくの間、右方向にメーター振り切ってて、洋楽すら遠ざかっていた時期もありましたが、今年に入ってから、改元のお祭り騒ぎもあってか、こう、私の中にある日本への概念が何となく固まってきたのかもしれません。今は洋楽メタルライフが楽しいです。ちなみに日本語の曲はボカロとか米津玄師聴いてます。米津さんの歌詞はかっこつけて横文字や英語ねじ込まない物が多く、日本語が綺麗でとても好きです。
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