あとがき
文字数 1,664文字
私にとってホラー小説とは「読むんじゃなかった……」と、読む人に後悔させるような内容であれば成功なんだと思っています。
ある意味、売れにくいジャンルではありますが、「怖いもの見たさ」というのは人間の本質的な欲求なので、そこを刺激するのも書き手の役割なのではないかと。
最近は小野不由美さんの『残穢』や、映画では『事故物件 恐い間取り』など、物件関連のお話がホラー作品のトレンドとなっているようですが、オカルトに否定的なデジタル全盛の時代では身近な恐怖ほど共感を得やすいため、生活する上で不可欠な「人の住まい」に関わるものがウケるのも何となく納得できる感じですね。
25年ほど前にジャパニーズ・ホラーブームというものがありまして、その筆頭となったのが鈴木光司さんの『リング』です。
映画が制作されたことにより、前髪を垂らした強烈なビジュアルで知名度を得た『山村貞子』のキャラクターは、今でも登場シーンを鮮明に覚えている方も多いと思われます。
私が当時感じたのは、『リング』って謎解きミステリー寄りな内容なので、実はホラー小説として売り出すつもりはなかったんじゃないかなぁと。
作品を読んだ人には分かると思いますが、怖いというよりは純粋に面白いんですよ、推理小説を読んでいるような感じで。
しかし、映画の成功で「ジャパニーズ・ホラー」というジャンルが確立されたので、映像の力で原作がホラーというジャンルに引っ張られたというのが正しい見解かもしれません。
山村貞子もモデルとなった実在の人物がいますし、下手をすると日本を代表する怨霊の一人としてイメージが定着したため、故人にとっては甚だ迷惑な話だと思いますが、今では始球式に出るほど国民的キャラクターとなってしまい、この流れは止められそうにありません。
【画像引用元】https://www.youtube.com/watch?v=zqIcF2HaQLM
……改めて映像の力って恐ろしいですね。
そんな話はさておき、この頃から「得体の知れない呪いに殺される」という内容が目立つようになってきました。
日本古来の『怪談』とは、誰かの怨念があって成立するものなので、除霊しても意味がないという新たな恐怖を読者に植え付けたのもこの時期だったように思います。
『リング』はビデオテープを見ただけで殺されてしまうため、主人公は恨みの原因を探し当てることに奔走しますが、実際は正解がないまま物語は終わってしまいました。
……原因が分からなければ手の打ちようがありません。
この「得体の知れない呪い」というのが『リング』の怖さであり、後々の作品に多大な影響を与えるようになりました。
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これらの行動には何の意味もありませんが、何故か主人公が呪われてしまい、最終的にお坊さんや霊能者に頼るという物語がネット上に溢れました。
私の書いた『朱鬼村』にはお坊さんや霊能者は出ませんが、「得体の知れない呪い」という点では似ていますね、ホラー小説としては少し古い形式かもしれませんが。
……先ほど述べた通り、日本古来の『怪談』は誰かの恨みがあって物語が成立するものが多く、そこには「人の恨みを買うようなことをやっちゃいけない」という戒めが含まれているような気がします。
今回の『朱鬼村』は、こうした要素が薄い感じですが、物語を通して読み手に「恨みを買うようなことをしないで」と感じさせるのは大切だと考えており、今後もその数を増やしたいと思っています。
何故人は幽霊を怖がるのか? それは良心の呵責が幽霊という存在を生み出しているからです。
人の想いや命を大切にしたいと願えば、怨霊や悪霊など寄り付かないですから。
最近は人の想いや命を蔑ろにする作品が増えているため、この状況こそがすでに「得体の知れない呪い」に国民が蝕まれているのかもしれません……あまりホラーというジャンルに甘えず、残酷な作品ばかり増やしてはいけないような気がします。
ある意味、売れにくいジャンルではありますが、「怖いもの見たさ」というのは人間の本質的な欲求なので、そこを刺激するのも書き手の役割なのではないかと。
最近は小野不由美さんの『残穢』や、映画では『事故物件 恐い間取り』など、物件関連のお話がホラー作品のトレンドとなっているようですが、オカルトに否定的なデジタル全盛の時代では身近な恐怖ほど共感を得やすいため、生活する上で不可欠な「人の住まい」に関わるものがウケるのも何となく納得できる感じですね。
25年ほど前にジャパニーズ・ホラーブームというものがありまして、その筆頭となったのが鈴木光司さんの『リング』です。
映画が制作されたことにより、前髪を垂らした強烈なビジュアルで知名度を得た『山村貞子』のキャラクターは、今でも登場シーンを鮮明に覚えている方も多いと思われます。
私が当時感じたのは、『リング』って謎解きミステリー寄りな内容なので、実はホラー小説として売り出すつもりはなかったんじゃないかなぁと。
作品を読んだ人には分かると思いますが、怖いというよりは純粋に面白いんですよ、推理小説を読んでいるような感じで。
しかし、映画の成功で「ジャパニーズ・ホラー」というジャンルが確立されたので、映像の力で原作がホラーというジャンルに引っ張られたというのが正しい見解かもしれません。
山村貞子もモデルとなった実在の人物がいますし、下手をすると日本を代表する怨霊の一人としてイメージが定着したため、故人にとっては甚だ迷惑な話だと思いますが、今では始球式に出るほど国民的キャラクターとなってしまい、この流れは止められそうにありません。
【画像引用元】https://www.youtube.com/watch?v=zqIcF2HaQLM
……改めて映像の力って恐ろしいですね。
そんな話はさておき、この頃から「得体の知れない呪いに殺される」という内容が目立つようになってきました。
日本古来の『怪談』とは、誰かの怨念があって成立するものなので、除霊しても意味がないという新たな恐怖を読者に植え付けたのもこの時期だったように思います。
『リング』はビデオテープを見ただけで殺されてしまうため、主人公は恨みの原因を探し当てることに奔走しますが、実際は正解がないまま物語は終わってしまいました。
……原因が分からなければ手の打ちようがありません。
この「得体の知れない呪い」というのが『リング』の怖さであり、後々の作品に多大な影響を与えるようになりました。
「
見ただけ
で殺される」「
聞いただけ
で殺される」「
動かしただけ
で殺される」これらの行動には何の意味もありませんが、何故か主人公が呪われてしまい、最終的にお坊さんや霊能者に頼るという物語がネット上に溢れました。
私の書いた『朱鬼村』にはお坊さんや霊能者は出ませんが、「得体の知れない呪い」という点では似ていますね、ホラー小説としては少し古い形式かもしれませんが。
……先ほど述べた通り、日本古来の『怪談』は誰かの恨みがあって物語が成立するものが多く、そこには「人の恨みを買うようなことをやっちゃいけない」という戒めが含まれているような気がします。
今回の『朱鬼村』は、こうした要素が薄い感じですが、物語を通して読み手に「恨みを買うようなことをしないで」と感じさせるのは大切だと考えており、今後もその数を増やしたいと思っています。
何故人は幽霊を怖がるのか? それは良心の呵責が幽霊という存在を生み出しているからです。
人の想いや命を大切にしたいと願えば、怨霊や悪霊など寄り付かないですから。
最近は人の想いや命を蔑ろにする作品が増えているため、この状況こそがすでに「得体の知れない呪い」に国民が蝕まれているのかもしれません……あまりホラーというジャンルに甘えず、残酷な作品ばかり増やしてはいけないような気がします。