第7話 第1話(リメイク)俺の元に来たのは、未来から来た娘でした

文字数 1,392文字

 俺の名前は、工藤拓斗。
 今は、実家から離れて、家賃三万六千五百円のマンションに一人暮らしをしている。
『大学でなら、彼女できる!』と、先輩が言っていたから、大学で彼女を作り楽しいキャンパスラフを送る妄想をしていたが、現実はそんなにうまくいかなかったのである。 
 大学には、友達がいない。だから、恋愛相談をすることができない。唯一話すと言えば、俺が一方的に夜空に広がる星に独り言を言うぐらい。
 そんな毎日、いつものように星を見ていると、空から物体が落ちてきた。

「なんだ、これ?」

 その物体は、クリップのような形をしていたが紙を挟むような機能はなく、電線や基盤が大量にあり、機械の部品のようだった。

 (なんで、こんなものが空から?)

 恐る恐る手に取り隅々まで見てみると、その物体の裏側に小さな文字が書かれていた。

(ま、まじか!)

 『タイムマシーン20XX年.11月1日・・・』と、書かれていた。
  
「20XX年は数十年後のはず。まさか、これって・・・!」

 数十年後の未来から来た部品。多分、これはタイムマシーンのパーツだと思う。なぜなら、昔見た本でこれと同じ形の部品を見たような気がするからだ。
 
「うぉ! マジのタイムマシーンだ!!!」
  
 俺はタイムマシーンが存在すると信じていた。でも、”小中”の友達には全然信じてもらえなかったけど、この部品を見せれば信じてもらえると思った。
 俺は、その部品を袋に入れ大切に保管した。

「もったいないな~」

 この物件は、サイトで星1をつけたいほど日当たりや風通りが悪い。でも、星を見るならこの部屋以上に素晴らしいところはない。

(いつか、彼女と一緒みたいな~)

 1人で見ていても面白いけど、やっぱりここは友達や彼女と一緒に見たい。でも、俺には、家に誘える友達が”一人も”いない。
 数年後の自分が、どんな姿をしているのかが容易に想像できる。

「俺の人生後悔しかないな~」

 大学で出会った友達と夜遅くまで遊び散らす。そんな、大学生活を考えていたけど、実際は、何もできなくて後悔しか残らない。
 もし可能なら、もう1度1から再スタートさせてほしい。

「そんな、ことが出来たら人生楽なのだけど・・・」

 空に広がる星々。毎日見えているけど、星々は一切変化しない。
 遊びにいく用事ややることがない俺は、しばらくの間星々を見ていた。

「!!!」
 
 俺は驚いた。
 謎の物体が美しい火をまといながら地上に落下していく。 
 俺は、その物体が何か理解できた。

「”隕石”」
 
 隕石は徐々に分解され、見えなくなった。
 分解された破片が、四方八方に飛んで行った。
 
「綺麗だったな~」

 偶然でも見れて良かった。
 隕石をまじかで見ることが出来たのだから。
 あの光景を2度と忘れない。そして・・・

「あ、すみません。家、壊してしまいました」
 
 四方八方に飛んで行った隕石の破片が俺の家に墜落して、しかもそれがタイムマシーンだったことも。

「え、えぇ―――!」
「あの、タイムマシーンが壊れてしまったので、治るまでの1年居させてくれませんか?」

 隕石の破片が俺の家に墜落したことよりも、それが隕石の破片ではなくタイムマシーンだったことよりも、それよりも・・・

「あの、どちら様ですか?」
「申し遅れました。私は、工藤蛍。あなたの娘です!!!」

 タイムマシーンに乗ってきたのは、”未来から来た俺の娘でした”。 

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