第8話 第2話 (リメイク)守りたい人

文字数 1,384文字

  俺の名前は、工藤拓斗。

18年近く生きているが、自慢できることは小中高と一度も遅刻をしたことだけだった。

大学に入学してからも、遅刻はなく遅刻しそうになったことも無かった。今日・・・



「なんで起こしてくれないだよ!」

「起こしたよ! でも、起きなかったじゃん!

(まじかよ~)



 今まで一回も遅刻したことないのにーーー!

 よりによって、小テストがある今日だなんて。



「ありがとう母さん。今起きるよ」

「はぁー! 何寝ぼけているのよ!」

「え! この声は、お母さん?」

「いい加減起きろ! 遅刻するぞ、この野郎!」

「グヘェ!」



 拳が食い込んだ。



「朝っぱらから何すんだよ!」

「おい!」



 不器用な笑顔で言った。



「遅刻するぞ,この野郎! さっさと、大学行ってこい。こっちは朝早くからアラームなって迷惑なんだよ。 大体、この汚い部屋はなんだよ? 食べ終わったカップ麺とか捨てろよ!」

「そ、それは・・・」

「つべこべ言わずに、さっさと準備して大学行ってこい!」

「はいー!!!」



初めて未来に怒られた。

 信号が無いところを歩き、全力ダッシュしたおかげで始業1分前に大学ついたが、疲れと災厄な気分で受ける講義は、いつも以上に集中できなかった。



(やば、眠い)

 

 次の講義が始まるまで、目を閉じた。

 

(未来が来てから2か月たったのか)

 

 2か月前、タイムマシーンが俺の部屋に屋根を破壊して落下してきた。 

俺の将来の夢は、タイムマシーンを作ることだった。だから、俺の目の前にタイムマシーンが落ちてきて、とてもうれしかった。



(まさか、俺の娘だなんて・・・)



 未来の俺には嫁さんがいる。

 その事実だけが、うれしかった。



 「おい、君・・・。授業終わったよ」



 誰かが言った。。



「何言っている? あの背が低くて、メガネの先生がいないじゃないか!」

「い、いや・・・」



 俺の発現を聞いた生徒たちが少し引いた。

 『コンコン』と肩をたたかれた。



「ダサいメガネで申し訳なかったね」

「い、いや」

「学籍番号。AAA09 工藤拓斗君」

「は、はい!」



 職員室に連れていかれ、こっぴどく怒られた。

 入学してから誰も先生を怒らせたことが無いから、俺が第1号だ。

 

「最悪だ。まさか、こんなことになるなんて」



 優しい先生を怒らせた奴という変なレッテル張られていたらどうしよう。



「ピコッ!」

 

 珍しく、SNSの通知がなった。

 

「えっと、迷子になった。迎えに来て」

「迷子? ま、迷子!」  

  

 おかしい。

 だって、未来に渡しスマホと俺のスマホは、位置情報が共有されている。

 

「もしかして、家にスマホを忘れて出て行ったとか?」

  

 だったら、どうやって俺のSNSにメールを・・・?

 俺は、飛ばせるところは飛ばして急いで家に帰った。

 家についてすぐに気づいた。



「あれ? 鍵しまっている?」



 俺は、1人暮らしを始めてから一度も鍵を閉めたことが無い。

 未来が、締めてくれたことを願いたいけど、もしかしたら・・・



(まさか、空き巣?)

 

「ドンドンドン!!!」

「おいおい! いたら開けてくれ!」

 

 普段、ドアを閉めない男が、開けるための鍵なんて持ち歩いているわけなかった。



(大家さんなら・・・。ダメだ、あの人、今旅行中だ)

 

 大家さんがいない今、俺にできることは何もなかった。

 何度、チャイムを鳴らしても出てこない。



「未来、いたら返事してくれ! 俺だ、拓斗だ!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み