(二)-17

文字数 328文字

 そしてその大手門が、ゆっくりと開いているのが見えた。
 夜がすっかり明ける頃には大手門はすっかり開ききった。そして中から熊本鎮台の兵士が外に出てきた。
 それに気づいた侍たちは大声で仲間を呼び、大手門の方へ来るように声を掛け、大勢の侍が集まってきた。
 二見もそれにならい、大手門の方へと向かった。
 大手門の前では、ほとんど寝間着姿の兵士たちが横二列に隊列を組み、近づいてきた。ほとんど寝間着というのは、慌てて兵舎を脱出した兵士たちが城内の兵士から制服の一部を借り受けているのだろう。寝間着の上に帽子だけ被っている者、上着だけ制服の者、寝間着にズボンを履いている者など装備がバラバラだった。陸軍の兵士であることを示して同士討ちを避けるのが狙いのようだ。

(続く)
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