第3話

文字数 431文字

秘密の恋は、未必の故意。
僕らはお互い、最初から好きじゃなかった。
一緒のバンドに居た頃はお互い相手が居たし、少なくとも僕は、おそらく彼女もタイプじゃなかった。
それが別々のパンドで、疎遠になって久しくひょんな事から、肉体関係を持ってしまった。
お互いちょうど相手が居なかったタイミング。
夏の終わり。
何故会う事になったのかも今では思い出せないが、僕は彼女の部屋に居た。
若い男女がふたりきり。
少しの酒。
僕はしまった、と思った。
彼女は、ふたりともとバンドをやってるあいつを好きなんだろうと思ってたから。
「久しぶりだったからかな、思ったよりおいしかった」
ずるずると。
秘密の恋だから、会うのはいつも彼女の部屋。
特に彼女が出掛けたがらなかった。
雨の連休、「どこも、行けないね、これじゃ」と言う僕。
「良いよ、ずっとシてようよ」と微笑む彼女。
彼女は痩せていたから、のけ反ると肋が浮いた。
それが、嫌だった。
彼女は白かったし、ほくろもたくさんあった。
けれど、かたかったんだ。
僕にはすごく。
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