第6話

文字数 359文字

初めて目を合わせた。
いや、それまで僕は、彼女を知らなかった。
歌手の浅香唯に似ていた。
ヤンキー先輩が想いを寄せるパートさん。
嫌な予感。
先輩はバーベキューに誘うのに、僕を伴った。
誘われた彼女は、僕をうっとり見つめながら、ふたつ返事で了承した。
その頃の僕には恋愛のれの字もなく、それで良かった。
先輩の恋が実りますように。
しかし、嫌な予感は的中した。
河原でのバーベキュー。
僕は、彼女のうっとり、熱にうかされたようなあの視線以外に何も覚えてない。
まずい事になった。
けれど、それから職場で会うたびあのうっとりを見せる彼女。
必要ない事を話かけては足止め。
先輩が察した。
「泣かしたら、承知しないぞ」
ああ。
そんな気はなかった。
女は残酷だ。
どんどん、来る。
先輩は、「どーすんだお前」
「僕んちこない?」
ついに。
彼女はすぐさま、オッケーした。
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