第19話 ジンの戦場体験
文字数 2,262文字
ジンは今3人の人間を支配下に置いている。
一人は経理経済担当の矢崎俊だ、そして次は「闇の仕置人」のコンタクターをやっている私立探偵の田所順平、そして最後が首相の秘書となった五十嵐功だ。
この3人は皆本物の人間だ。しかし中には精神のコアとジンの分体が入っている。
勿論それぞれに自我は持っている。しかし大事な場面ではジンが指導権を握る事になる。
それとジン自体は何処にでもいる。これはおかしな表現だが、基本的にはいつもこの3人のどれかの分体の中に入っている。それがジンの本体だと言う事になる。
そしてその本体はそれぞれの分体といつも精神的にリンクされていて分体間の意識移動が可能だ。
だからある時は俊の中のジンが本体であったり、順平や功の中のジンが本体だったりする。
そしてジンが人間である擬体を離れる時は、必ずジンの分身体を残している。だから緊急の場合はジン本体の代りが出来るようになっている。
仮に擬体が誰かに殺されたとしても、その分身体がいれば一度は生き返る事が出来る。
ただスザクだけはジンの本体からでしか分離出来ない。
つまりジンはいつもそれだけの防御策を考えていると言う事だ。
ジンにしてもいつも完璧とは言えないし失敗もする。そしていつ何処でジンを上回る敵が現れるかもわからない。
今の所はまだ現れてはいないが、これだけは絶対だとは言えないのだ。だから備えあれば憂いなしと言う事になる。
そしてジンは将来に備えて更に自分の能力を上げようとしていた。
その為に時々スザクとは例の孤島で模擬戦をやっていた。ただ最近は甲乙つけがたい戦績になっていた。
勿論ジンはあの究極のパワーを使った訳ではない。それはジンですらまだ完全に制御出来ない力なので、徐々に解放して行くしかないと思っていた。
ただこのままではどうしてもマンネリになってしまう。そこでジンは実際の戦場で力を試してみようと思った。
世界にはまだまだ戦争をしている国々がある。そう言う国で自分の力を試してみたいと思った。
ジンはまだ実際の戦争、人殺しの世界で戦った事はない。
普通の世界でなら人を一人殺せは殺人犯だ。しかし戦場では何十人、何百人と殺せば英雄と言われる。それが現実の世界だ。
ジンはその狂気の世界に一度身を置いてみようと思った。そしてそこで自分が何処まで何が出来るか知る為に。
ジンはスザクを分離して順平の体に残した。これならいつでも「闇の仕置人」は実行出来る。
そしてジンは遥か西に向かって飛んだ。
散発的に聞こえる銃声音と爆裂音、そして硝煙とむせ返る様な血の匂い。まさにここは戦場だった。
人と人とが理性をかなぐり捨てて獣となって互いの血肉を食らい合う。そう言う世界がここにあった。
そこにあるのは恐怖と緊張とそして血の滾りだ。人が人でなくなる世界がここにある。
『面白い』そう言ってジンは駆け出して行った。硝煙の渦巻く世界の中に。
どれほど経っただろうか。ジンの周りには死体の山が築かれていた。何十人、何百人、いや、もしかするとそれ以上かもしれない。
戦車や装甲車も破壊され尽くされ鉄くずの残骸となっていた。
そこには敵も味方もなかった。ジンに敵対した者は皆殲滅されていた。最後にはジンを見ただけで戦わずして逃げ出した兵も多くいた。
もはやそれは人ではなかった。戦場の「破壊の化身」「死神」とも言える姿だった。
敵見方を問わず人は恐れ戦き、そして畏怖の念を持ってジンを見ていた。
その戦場に勝者はいなかった。ただただ屍の山と人為的に破壊された荒野があっただけだ。
『これが戦争か。こんな物の為に人は戦い殺し合うのか。くだらん。それなら双方を抹消すればもっと静かになるだろう』その一言を持ってジンは戦場を離れた。
後に「戦場の破壊神」と言う伝説がこの地に生まれたと言う。
この時のジンの力は亜空間から300倍の力を引き出せていたと言う。何処まで昇り詰めるつもりなのか。
ジンの体験は精神リンクを通じてスザクにも共有されていた。そしてその経験も知識も実体験としてスザクには再現が可能だった。
これが出来るのは等価分体であるスザクだけだ。
ジンがいない間、スザクはいつもの様に嬉々として「仕置人」をやっていた。まるで「仕置人」になる為に生まれて来たような女だった。
時々ジンは飛んでもないものを作ってしまったなと思うのだが、あれもまたジン自身なのだ。
ジンが帰って来てスザクと二人でまた未来の構想について話し合っていた。
「仕置人」は今後も続ける。これは裏の世界をコントロールする為だ。
その為には非合法の方がやり易い。法律などあると何も出来なくなってしまう。だから悪が蔓延る。
無法者を殲滅するにはやはり無法の力が必要だ。それが二人の辿り着いた答えだった。二人に取っては実にシンプルな答えだ。
そして表の世界では今後ジンは事業を展開しようと考えていた。それがどんな事業になるかは今はまだ未定だ。
しかしある程度の構想は出来ていた。後は徐々にそれを実行して行く事になるのだが、残念ながら表の世界では何でも力で言う事を聞かせると言う事は出来ない。
だからある程度の時間はかかるだろうなと思っていた。しかしそれは構わない。ジンにはたっぷりと時間があるのだから。
老いない体と死なない体だ。焦る事など何処にもない。例え世界が死に絶えても自分は生き残ると言う自負があった。
そして一旦順平の所に戻ろうと、スザクを吸収して南の孤島から大阪に向かって霊体飛行した。
一人は経理経済担当の矢崎俊だ、そして次は「闇の仕置人」のコンタクターをやっている私立探偵の田所順平、そして最後が首相の秘書となった五十嵐功だ。
この3人は皆本物の人間だ。しかし中には精神のコアとジンの分体が入っている。
勿論それぞれに自我は持っている。しかし大事な場面ではジンが指導権を握る事になる。
それとジン自体は何処にでもいる。これはおかしな表現だが、基本的にはいつもこの3人のどれかの分体の中に入っている。それがジンの本体だと言う事になる。
そしてその本体はそれぞれの分体といつも精神的にリンクされていて分体間の意識移動が可能だ。
だからある時は俊の中のジンが本体であったり、順平や功の中のジンが本体だったりする。
そしてジンが人間である擬体を離れる時は、必ずジンの分身体を残している。だから緊急の場合はジン本体の代りが出来るようになっている。
仮に擬体が誰かに殺されたとしても、その分身体がいれば一度は生き返る事が出来る。
ただスザクだけはジンの本体からでしか分離出来ない。
つまりジンはいつもそれだけの防御策を考えていると言う事だ。
ジンにしてもいつも完璧とは言えないし失敗もする。そしていつ何処でジンを上回る敵が現れるかもわからない。
今の所はまだ現れてはいないが、これだけは絶対だとは言えないのだ。だから備えあれば憂いなしと言う事になる。
そしてジンは将来に備えて更に自分の能力を上げようとしていた。
その為に時々スザクとは例の孤島で模擬戦をやっていた。ただ最近は甲乙つけがたい戦績になっていた。
勿論ジンはあの究極のパワーを使った訳ではない。それはジンですらまだ完全に制御出来ない力なので、徐々に解放して行くしかないと思っていた。
ただこのままではどうしてもマンネリになってしまう。そこでジンは実際の戦場で力を試してみようと思った。
世界にはまだまだ戦争をしている国々がある。そう言う国で自分の力を試してみたいと思った。
ジンはまだ実際の戦争、人殺しの世界で戦った事はない。
普通の世界でなら人を一人殺せは殺人犯だ。しかし戦場では何十人、何百人と殺せば英雄と言われる。それが現実の世界だ。
ジンはその狂気の世界に一度身を置いてみようと思った。そしてそこで自分が何処まで何が出来るか知る為に。
ジンはスザクを分離して順平の体に残した。これならいつでも「闇の仕置人」は実行出来る。
そしてジンは遥か西に向かって飛んだ。
散発的に聞こえる銃声音と爆裂音、そして硝煙とむせ返る様な血の匂い。まさにここは戦場だった。
人と人とが理性をかなぐり捨てて獣となって互いの血肉を食らい合う。そう言う世界がここにあった。
そこにあるのは恐怖と緊張とそして血の滾りだ。人が人でなくなる世界がここにある。
『面白い』そう言ってジンは駆け出して行った。硝煙の渦巻く世界の中に。
どれほど経っただろうか。ジンの周りには死体の山が築かれていた。何十人、何百人、いや、もしかするとそれ以上かもしれない。
戦車や装甲車も破壊され尽くされ鉄くずの残骸となっていた。
そこには敵も味方もなかった。ジンに敵対した者は皆殲滅されていた。最後にはジンを見ただけで戦わずして逃げ出した兵も多くいた。
もはやそれは人ではなかった。戦場の「破壊の化身」「死神」とも言える姿だった。
敵見方を問わず人は恐れ戦き、そして畏怖の念を持ってジンを見ていた。
その戦場に勝者はいなかった。ただただ屍の山と人為的に破壊された荒野があっただけだ。
『これが戦争か。こんな物の為に人は戦い殺し合うのか。くだらん。それなら双方を抹消すればもっと静かになるだろう』その一言を持ってジンは戦場を離れた。
後に「戦場の破壊神」と言う伝説がこの地に生まれたと言う。
この時のジンの力は亜空間から300倍の力を引き出せていたと言う。何処まで昇り詰めるつもりなのか。
ジンの体験は精神リンクを通じてスザクにも共有されていた。そしてその経験も知識も実体験としてスザクには再現が可能だった。
これが出来るのは等価分体であるスザクだけだ。
ジンがいない間、スザクはいつもの様に嬉々として「仕置人」をやっていた。まるで「仕置人」になる為に生まれて来たような女だった。
時々ジンは飛んでもないものを作ってしまったなと思うのだが、あれもまたジン自身なのだ。
ジンが帰って来てスザクと二人でまた未来の構想について話し合っていた。
「仕置人」は今後も続ける。これは裏の世界をコントロールする為だ。
その為には非合法の方がやり易い。法律などあると何も出来なくなってしまう。だから悪が蔓延る。
無法者を殲滅するにはやはり無法の力が必要だ。それが二人の辿り着いた答えだった。二人に取っては実にシンプルな答えだ。
そして表の世界では今後ジンは事業を展開しようと考えていた。それがどんな事業になるかは今はまだ未定だ。
しかしある程度の構想は出来ていた。後は徐々にそれを実行して行く事になるのだが、残念ながら表の世界では何でも力で言う事を聞かせると言う事は出来ない。
だからある程度の時間はかかるだろうなと思っていた。しかしそれは構わない。ジンにはたっぷりと時間があるのだから。
老いない体と死なない体だ。焦る事など何処にもない。例え世界が死に絶えても自分は生き残ると言う自負があった。
そして一旦順平の所に戻ろうと、スザクを吸収して南の孤島から大阪に向かって霊体飛行した。