憲法や条約からみてブラックフェイスってどうなの?
文字数 1,975文字
第2条第1項に、
「(e)各締約国は、適当なときは、人種間の融和を目的とし、かつ、複数の人種で構成される団体及び運動を支援し並びに人種間の障壁を撤廃する他の方法を奨励すること並びに人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する。」と謳われているわね。
そうね。そして「人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する」と言っている。
まあ素直に読めば、国民がステレオタイプの押し付けをやっていたら、やめるよう誘導する責任が政府にはあるということよね。
ええ。憲法第22条第1項の表現の自由に対してね。
政府が表現規制をしようとしたとき、「条約を守るため」という口実を使うこともできるわけだから。
そういう可能性に対して、表現を行う側が、世界に対してきちんと説明をできるのか? ということは、もっと考えたほうがいいと思う。
* * *
それでね、人種差別撤廃条約の取り決めで、「人種差別の撤廃に関する委員会」が作られているの。委員は18人いて、各国から候補者を出して選挙で選ぶことになっているんだけど、このとき「その選出に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる」と第8条第1項で定められているの。
一覧があるから見てみましょう。久恵里ちゃん、ここに載ってる国を大まかでいいから地域ごとに分けてみて?
えっ? えっと……
アメリカ大陸: アメリカ合衆国、グアテマラ、ジャマイカ、コロンビア、ブラジル
ヨーロッパ: ロシア連邦、ベルギー、ハンガリー、スペイン
アジア: 日本、大韓民国、中国、トルコ
アフリカ大陸: アルジェリア、ブルキナファソ、コートジボワール、モーリタニア、モーリシャス
これでいいですか?
ええ。CERD/C/NLD/CO/19-21という報告書に、ブラック・ピートへの言及があるわ。
ブラックフェイスは英米だけの問題で、英米の価値観の押し付けだって言う人も多いんだけど。でも、世界の色々な地域の人々が集まった委員会があって、その名のもとに、ブラックフェイスが問題として指摘されているのが事実よ。
実際、オランダではブラックフェイスをしないピートも編み出されている。人々に受け入れられているとは言い難いけどね。
いやー長い話になっちゃったね。一休み……あ。